人気グラビアアイドルからAV女優やストリッパーに転身で話題を集めていた小向美奈子容疑者(29)が6日、関東信越厚生局麻薬取締部に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された。今回の事件で注目されるのは逮捕したのが「麻薬取締部」であることだ。通称、「麻取(マトリ)」。逮捕権を持つが、警察ではない。厚生労働省所管の部署で、麻薬Gメンとも呼ばれる捜査のプロが集まっている。
一方、警視庁の中で薬物犯罪を担当するのは組織犯罪対策(組対)五課だ。昨年は歌手のASKAを覚せい剤取締法違反などの容疑で逮捕して注目を浴びた。
麻取にしても五課にしても捜査で頼るのが “事情通”だ。彼らの多くは過去に違法薬物事件で捜査機関に逮捕された人物で、入手ルートから一緒にドラッグを使っていた仲間など、捜査員にしてみれば情報の宝庫である。“事情通”のひとりがこういう。
「出所後しばらくして、取り調べを受けた捜査員から“出所1年を祝おう”と連絡が入った。その後も捜査員から“仕事は順調か?”“もう(クスリを)やってないか?”などと頻繁に連絡が入るようになり、家族ぐるみで付き合うようになった。そうするとたまに“コイツがシャブやってるという情報があるが、何か知らないか”と尋ねられる。昔の仲間などから話を聞くこともあるから。私が最近、尋ねられたのは、有名な男性タレントMとOの2人だった」
舞台や映画で活躍している男性タレントMとOは、かつて同じ芸能事務所に所属していた。その芸能事務所にごく近い有名人には違法薬物での逮捕者が出ている。
「捜査員はMとOの行動確認とともに、彼らの携帯電話の発着信履歴、メールやSMS(ショートメッセージサービス)、LINEの送受信履歴などすべての通信記録を入手して、尻尾を掴もうとしている。後ろめたいことをしている芸能人は、自分の名前で携帯電話を契約しないケースが多いので簡単にはいかないだろうが、この2人に関してはかなり捜査が進んでいるようだった」(同前)
現役の麻薬取締官はこんな捜査手法を明かす。
「常習者は“シャブ抜き”のためのクリニックを持っているものです。シャブ抜きとは、職質などで検査されても薬物反応が出ないように、点滴などで薬物を排出すること。そうした噂のあるクリニックに通っている芸能人の情報は収集している。警察ドラマなどによく出演している大物俳優Fが、都心の繁華街にある常習者御用達クリニックに頻繁に通っていることを把握している」
※週刊ポスト2015年2月27日号