イスラム過激派組織「イスラム国」が日本を標的とすると宣言したことで、テロの脅威に備えて国内の各所で警戒が強まっている。2月22日に開催される東京マラソン、そして、なんとバラエティー番組の制作にも影響が出ているという。
今年で9回目を迎える東京マラソン。毎年、3万5000人以上のランナーが参加し、さらに100万人以上の観衆が沿道を埋め尽くす。しかし、これだけ人が集まるということはそれだけテロのターゲットにされる可能性が高まるということに他ならない。
東京マラソンの警備を担当する警視庁は異例の厳戒態勢を敷き有事に備えている。
「参加者と一緒にコースを走る“ランニングポリス”64人の導入が決まった。昨年はボストンマラソンで爆破テロがあったため、4400人の制服警官が出動され、警備が強化されたが、今回はそれ以上になる。当日、沿道に駆り出される警察官に、私服(警察官)の数を含めると、国内のマラソン大会で最大規模の警察官が集結することになる」(警視庁関係者)
イスラム国のテロ攻撃を警戒しているのは警察だけではない。東京マラソンを中継するテレビ局も極度の緊張を強いられている。
「東京マラソンはフジテレビと日本テレビが隔年でライブ中継を担当しています。今年はフジで、進行役を山崎夕貴アナ、宮澤智アナのアイドルアナが担当する。ランナーとしては、内藤大助、長州小力にスポーツ選手枠で元スピードスケート選手の岡崎朋美らがマラソンを盛り上げるために出場する。フジは万が一に備えタレントランナーの走りにはいつも以上に注意を払う体制を組んでいる。一緒に走るスタッフも増員して本番に臨むようです」(テレビ局関係者)
東京マラソン関連だけではない。イスラム国の恐怖は日本のバラエティー番組の制作にも大きな影響を与えているというのだ。
「イスラム国の“誘拐ビジネス”は組織を維持する柱となっている。海外ロケ中に、身代金を目当てに日本の芸能人が誘拐の対象になる恐れは充分あります。芸能人が海外ロケでテロの被害にあったり、誘拐されたりしたらそれこそ大ニュースになる」(キー局編成関係者)
この状況にテレビ界は頭を抱えている。高視聴率を取っている多くの番組が海外ロケに依存しているからだ。
「海外ロケものの番組は視聴率が取りやすく、各局とも人気番組が多いんです。NHKは『ホットスポット 最後の楽園』、『ダーウィンが来た!生き物新伝説』など特番を含めるとかなりの数になる。日テレは民放でもっとも多く『世界まる見え!特捜部』『世界の果てまでイッテQ!』『トリックハンター』など。
TBSは老舗番組の『世界ふしぎ発見!』がありますし、フジは『世界行ってみたらホントはこんなトコだった!?』、テレ朝は『世界の村で発見!こんなところに日本人』がある。テレ東も『YOUは何しに日本へ?』、『世界ナゼそこに?日本人』など。どれも、局にとっては高視聴率を取れるお宝番組です。すでに、テロを警戒してロケ地を変えたり、海外ロケを減らしたりする動きが出始めています。それが今後の視聴率に影響しなければいいが…」(制作会社幹部)
イスラム国の脅威はさまざまなところに波紋を広げているのだ。まずは東京マラソンが何事もなく開催されることを切に望みたい。