NHK大河ドラマ『花燃ゆ』の低空飛行が続いている。長州(山口県)出身の幕末の思想家・吉田松陰の妹である杉文(井上真央)をヒロインにしたドラマは歴代ワースト3位の16.7%でスタートし、2月15日放送の第7回は11.6%と最低を更新。歴代最低だった『平清盛』(2012年)の平均視聴率12.0%を下回る歴代ワーストも見えてきた。
本誌がこれまで指摘してきた『花燃ゆ』の制作経緯に関する重大証言を紹介しよう。
『花燃ゆ』スタートに合わせて発売された『花燃ゆ 完全ガイドブック・TVガイド特別編集』(東京ニュース通信社)には、脚本を担当する大島里美氏のインタビューが掲載されている。
〈文を主人公にしたドラマにすることは、オファーがあったときにすでに決まっていたのですか?〉という質問に対する大島氏の回答は実に興味深い。
〈いいえ、文を主役に決めたのは、題材を探しに土屋さんと宮村さん(編集部注・土屋勝裕チーフプロデューサーと、共同で脚本を担当する宮村優子氏のこと)と一緒に萩取材に行ったときのことでした。そのほかにもいろいろな案があったのですが、取材中に文を見つけて、これはドラマになると思ったんです〉
つまり「主人公の前に舞台が決まっていた」と説明しているのだ。
本誌1月30日号ではジャーナリスト・鵜飼克郎氏のレポートで、2013年9月に大島氏ら3人が山口県萩市を訪れ、「何か大河ドラマの題材はありませんか」と観光課長らにヒアリングしていた情報などを紹介。主人公の決定より「舞台が安倍首相の地元である山口県であること」を最優先したと報じ、政治的な思惑が絡んでいたのではないかと問題提起した。
それに対してNHKは「制作の中身や過程についてはお答えしない」(広報部)と説明したが、当事者である大島氏の一言で、本誌が指摘した疑惑がさらに深まったことになる。
どうも疑惑は間違いなさそうなのだ。なぜなら安倍首相自身、こんなことを語っていたというのである。官邸筋が明かす。
「親しい記者との会合で“大河観てる? 面白いねェ、やっぱりあのドラマにしてよかったな”と話したことがあり、聞いていた記者たちは後で、“やっぱり週刊ポストの話は本当だったんだ”とヒソヒソ盛り上がっていました」
“オレが決めた大河”では視聴者が冷ややかになるのも仕方ないことだろう。
特にドタバタの突貫制作を強いられたNHKのスタッフにしてみれば、低視聴率は“安倍の呪い”に映るかもしれない。
※週刊ポスト2015年3月6日号