「疑われるくらいなら死んだほうがマシや」と本誌取材に豪語していた女がついに自供を始めた。
関西連続不審死事件の筧千佐子容疑者(68)は、2012年3月に大阪に住む内縁の夫・本田正徳さん(当時71)を殺害した容疑で2月18日に追起訴された。2013年12月の夫・筧勇夫さん(当時75)殺害についても起訴済みで、捜査関係者によれば、いずれも「カプセルに青酸を入れて飲ませた」と容疑を認めたとされる。
千佐子容疑者は最初の夫と死別した後の20年間で3人と結婚し、交際した人を含めて10人以上の被害者がいるという情報がある。しかし、死亡から数年が経過していて物証がないために事件化には至っていない。
10人以上といわれる被害者のうち、報道されているのは勇夫さん、本田さんを含めて6人。
2006年に脳梗塞で死亡した兵庫県西宮市の男性(当時69)、2008年3月に心疾患で死亡した奈良市の男性(当時75)、2008年5月に病死した大阪府松原市の男性(当時75)、2013年9月に肺がんで死亡した兵庫県伊丹市の男性(当時75)。
そして、本誌は新たに7人目の不審死について詳細な情報を得た。しかも、本田さんの後、勇夫さんの前に死亡しており、比較的新しいケースだ。
大阪に住む男性Aさんは2013年5月に死亡した(当時68)。千佐子容疑者とは内縁関係だったようだが、出会いのきっかけは不明だ。
「2013年5月5日19時40分頃、堺市中区のマンションの一室から妻と名乗る女性から『気がついたら夫が呼吸をしていない』と119番通報。病院に搬送されるも、翌6日午前4時30分頃に死亡した」(捜査関係者)
Aさんには糖尿病の持病があったが、特に体調を崩していたわけでもなく、全くの突然死だった。それでも事件性はないと判断され、司法解剖されなかった。通報した「妻と名乗る女性」が千佐子容疑者とみられる。マンションの隣の部屋に住む女性が話す。
「Aさんが亡くなっていたと初めて知りました。てっきり引っ越されたと思っていましたから。救急車で運ばれたことも知りません。
Aさんが隣に引っ越してこられたのは2013年の初め頃で、女性が洗剤を持ってご挨拶にこられたんです。奥様だと思っていましたが、まさかあの人が千佐子容疑者だったとは……」
Aさんはかつて造園業を営んでいたが、ほかの被害男性のように自分名義の不動産を持っていなかった。が、Aさんの葬儀に出席した知人が語る。
「Aさんは最初の奧さんと死別し、その後結婚と離婚を2度繰り返した後に千佐子容疑者と住むようになった。食事を作ったり身の回りの世話をしてくれる女の人が欲しかったみたいだね」
大阪府警はすでに遺体がないAさんの死亡の事件化は難しいと判断している。千佐子容疑者がすべてを語るしか真相解明の道はない。
※週刊ポスト2015年3月6日号