中日ドラゴンズの本拠地ナゴヤドームにほど近い東区矢田のこのあたりは、大手電機メーカーをはじめいくつもの企業が点在している。そこで働くサラリーマンたちが一日の仕事を終えほっと一息つく場所が、ここ『みのや北村酒店』である。
昭和13年からつづくこの酒屋は、喫茶店文化がどっしりと根を下ろしている名古屋では数少ない、店内で角打ち(名古屋では立ち呑みと言う)が楽しめる店なのだ。
メインの角打ち台はカウンターではなく、6~7台ある足の長い長方形の小テーブル。大将こと三代目主人の北村彰彦さん(38歳)が、宮大工をしている友人の手を借りながら定休日を利用してこつこつと10か月もかけてこしらえたというそれは、この店の立ち呑み常連客になくてはならない存在として愛されている。
「大きさからいうと、今日の僕らみたいな2人連れが酒とつまみを載せて囲むのにちょうどいいんだけど、人数に関係なく、ついつい囲んでしまうんですよ。慣れない人には狭く感じられるかもしれないですが、常連にはこんなに気の休まる台はありません。それがわかれば、常連になれます(笑い)」(40代、建設系)