今も人気のプロ野球カード。このほど刊行された週刊ポスト増刊『プロ野球&甲子園 甦る伝説』では、1970年代から現在までに発行された80枚以上の「お宝カード」を紹介しているが、マニアの間では根強い人気を誇り、流通量が少ないレアカードとなると、驚くような高値で取引されている。
全国のコレクターが足繁く通うプロ野球カードの「聖地」が大阪・寝屋川市にある。古物商「キンキーズ」だ。
雑居ビル2階にある店内には輪ゴムで束ねた野球カードがズラリと並ぶ。「仮面ライダーカード」や、特撮ヒーローやアニメのブロマイド、ソフトビニールの怪獣のおもちゃなどが展示されているが、中でも品揃えの豊富さで「プロ野球カード」は群を抜く。
この店が聖地たる所以は、入手困難なレアカードが日々持ち込まれるからだ。オーナーの田中康隆氏が語る。
「買い取るのはコレクターアイテムとして価値がある、発売初年の1973年から1996年のカードまでです。それ以降は大人買いする人が増えて、大量にカードが存在するから、価値は下がってしまいます。引っ越しで自宅を整理していたらカードが大量に出てきたといって、売りに来られる方は少なくない」
そうして持ち込まれるカードの中に“お宝”が眠っていることがある。マニア垂涎のカードとはいったいどんなカードなのか。
「例えば1973年の基満男と東田正義(太平洋クラブ)のツーショットカード。これはレアカードの中でも別格で、全国で10枚ほどしか確認されていません。取引価格は28万円。当たり付きのホームランカードなら50万円で買い取りますよ」(田中氏)
基・東田のカードは九州や広島などで印刷されたものの、当初の発行枚数自体が少なく、本拠地の九州ですらあまり流通しなかったため、現存するカードは希少だという。それに次ぐ激レアカードは、意外にも作成された種類が多い長嶋茂雄氏のカードだった。
「1978年の長嶋監督の横顔カードです。15年お店をやっている私も、現物を目にしたことはありません」(田中氏)
このカードを所有するコレクター・伊藤康隆氏に話を聞いた。
「ネットオークションでカードアルバムごと落札して中身を見たら、この長嶋監督のカードが混じっていて思わず大声で叫んでしまいました。約10万円で取引されるカードを破格値でゲットできたんです」
※週刊ポスト2015年3月6日号