3月26日に告示が迫った北海道知事選挙(4月12日投開票)の行方が永田町に波紋を広げている。4選を目指す自民党道連推薦で現職の高橋はるみ知事に対して、民主党側は「4選は絶対に阻止しなければならない」と候補者選びを進めていた。
2月15日になって民主党道連は独自候補の擁立を断念し、すでに立候補を表明していた無所属のフリーキャスター・佐藤のりゆき氏を支援する方針を固めた。混乱の背景には、民主党王国である北海道の“ドン”といわれる横路孝弘・代議士(元衆議院議長)の存在がある。民主党中堅議員が明かす。
「横路さんは、“かつて高橋知事を支援していた佐藤はダメだ”と周囲に語っていた。(新党大地代表の鈴木)宗男さんが横路さんに“佐藤候補で野党一本化しましょう”と提案したらしいが、首を縦に振らなかった。横路さんは“俺がなんとかする”と数か月ずっと独自候補を探していたが、話に乗る人はいなかった」
“ドン”の面目丸潰れとなった横路氏は「候補を擁立できなかった責任を取る」として道連代表を辞任。それが皮肉にも、有利とみられていた高橋知事を窮地に追いやったのだ。自民党の北海道議が語る。
「高橋知事は安定感があって支持率も高いが、4期目となると長期政権批判が出てくる。そのうえ相手(佐藤氏)は、“北海道のみのもんた”と呼ばれる人気者で、事実上の一騎打ちとなれば分が悪い。何よりわがままで嫌われ者の横路がいなくなったことで野党協力が進むのが脅威だ」
民主党と大地のほか、2月17日には共産党も佐藤氏支援の方針を固めた。維新も支援に回るとみられる。
昨年末の総選挙の比例北海道ブロック得票率は、自公合計の約42%に対し、民・維・共は合計で約50%。そのため官邸は、
「事実上の不戦敗となった福島県知事選にはじまり、落としてはならなかったはずの沖縄県知事選、佐賀県知事選に続く4連敗となる可能性がある」
と戦々恐々なのだ。
※週刊ポスト2015年3月6日号