週刊ポスト増刊『プロ野球&甲子園 甦る伝説』では、プロ野球カードの大特集が組まれている。1973年の高木守道氏(中日)のカードには、裏面に「契約のとき『100万円給料をあげるから、グラウンドで笑顔をみせるように……』」とあった。カード裏面に書かれていた爆笑エピソードは真実なのか、思い切って本人に聞いてみた。「100万円やるから笑え」と暴露された高木守道氏に真相を直撃!
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ええ、本当ですよ(笑い)。当時のオーナーから「ホームランを打った後ぐらいニッコリしろ。お前がホームランを打ってニッコリすれば、ボーナスを出してやる」と言われ、実際にいただきました(笑い)。
僕はグラウンドで目立ちたくないというか、できるだけ目立たないように育てられてきたんです。親父からは「目立つな」と言われたし、高校時代(岐阜商)は「グラウンドでは歯を見せるな」と教え込まれてきましたからね。
だからどんなプレーでも淡々とやろうと思っていたんです。ホームランを打っても笑わないし、守備ではどんなに難しいゴロでも、「プロなんだからこれくらいは普通だ」と、意識して顔色一つ変えずにプレーしていました。おかげでチーム内では、ある時代小説に出てくる無口な主人公の仇名をとって、“むっつり右門”といわれていたほどです(笑い)。
元来ファンサービスが苦手だから、最近監督をやったとき(2012~2013年)には苦労しましたよ。サインを頑張ったらチームに目が行き届かなくなったり、リップサービスしたつもりが変に報道されたり。やはりファンサービスは難しいですね(笑い)。
※週刊ポスト2015年3月6日号