近年の芸能界では、2世タレントの活躍が目立つようになっている。神田正輝と松田聖子の娘・神田沙也加や関根勤の娘・関根麻里、石田純一と松原千明の娘・すみれなどは、売れっ子として頻繁にメディアに露出している。芸能関係者が話す。
「2世タレント自体がかなり増えているため、一見売れっ子ばかりのように思われますが、パッとしない2世も珍しくありません。言うまでもありませんが、2世タレントは親の名前を使って、デビューできるわけです。そこにばかり注目が集まると、『金持ちのくせに』というやっかみも買いがちです。タレントとしての実力は置いておいて、最初から奇異な目で見られてしまう。そのため、実力があってもブレイクに至らないケースも多く、かわいそうなところもあります」
2世タレントが受け入れられにくい理由は、もう一つあるという。
「彼らは売れても売れなくても、そこまで生活には困らない。親が一生子供を養えるくらいの資産を充分に保持しているケースも多い。実際はどうであれ、世間はそういう目で見てしまう。
どんな親でも、子供にはどうしても甘くなります。口では『厳しく育てている』と言っても、本当に実行している人はほとんどいないでしょう。そのような“甘えの構造”が見え透いてしまうから、才能があるはずなのに、売れる2世タレントがなかなか出てこない。ハングリー精神に欠ける点は否めないですね」(同前)
2世タレントは年々増加し続け、芸能界の一大ジャンルにまで勢力を拡大している。テレビをつけても、2世タレントの出演しない日はない。一方で、以前と比べ、テレビの視聴率は下がり続けている。
「かつて芸能界は、一発逆転のできる世界だった。幼少期、貧しい思いをした子供たちが夢を持って、歌手や役者、芸人として挑戦していったのです。それが今では、元からお金持ちである芸能人2世の寄せ集めのような世界になった。これでは、視聴者が芸能界に魅力を感じなくなって当然です。日本全体が裕福になり、極端に貧しい人があまりいなくなったため、芸能界の存在意義が変わりつつあることも事実でしょう」
それでも、世間は、“自分たちと同じような一般人が芸能人になったドラマ”に惹き付けられるという。
「たとえば、1970年代や1980年代の“かつてのスターの今”を取り上げる『爆報!THEフライデー』(TBS系)は視聴率好調です。栄華を極めたスターが、現状では苦しんでいる姿も頻繁に取り上げられ、それでも必死に立ち上がろうと頑張る姿が共感を呼んでいるからでしょう。2世タレントには、そのような“振り幅”がないので、視聴者もあまり惹かれないのかもしれません」