2016年夏に日本で開催される主要国首脳会議(サミット)。開催地には仙台、新潟、浜松、軽井沢、名古屋、伊勢、神戸、広島の8都市が名乗りを上げ、地元選出の国会議員、首長、地方議員や地元経済界あげての招致活動が過熱している。政府内では、本命が仙台、対抗が広島、ダークホースが軽井沢といわれている。
とはいっても、出遅れた他の都市は巻き返し作戦を練っている。浜松は安倍首相に近い城内実・外務副大臣らを総動員して招致議員団を編成。団長には安倍首相の出身派閥・細田派の事務総長を務める塩谷立・元文科相を据えた。「総理とのパイプで首脳会議は浜名湖、閣僚会議は日本平での開催を勝ち取る」(地元紙記者)という「安倍オトモダチ作戦」だ。
今年1月にエントリーした最後発組の伊勢は「神頼み」で逆転を狙う。
鈴木英敬・三重県知事は記者会見で「テロに対しては毅然とした対応が必要だが、長期的な世界の平和を達成するには多様な価値観を受け入れていかなければならない。伊勢神宮を中心とする神道には“あらゆるものに神が宿っている”という考え方があり、他の宗教を排除するのではなく、様々な価値観を受け入れる精神性が育まれている。寛容な共生社会を作っていくというメッセージ性のある場所だ」と語った。
「寛容」とは安倍首相が中東での演説で使ったキーワードだ。首相を持ち上げつつ、伊勢神宮を持ち出して“テロ対策サミット”をアピールしたのである。安倍首相の外交によって日本がテロの標的となっていることも日本の神々は許してくれるだろうか。
開催都市は今年6月にドイツで開かれるエルマウ城サミットで正式発表される。
※週刊ポスト2015年3月6日号