ここ数年、フリー電源を完備したカフェを目にすることが増えた。スマートフォンの充電やパソコンを利用した作業など、利用者のニーズに対応したかたちだ。店舗によって無料電源を備えるカフェや、作業スペースとして利用料を別途徴収するカフェなど、さまざまだ。
しかし、受験シーズンやテスト期間中、大手チェーンは勉強目的の学生の利用者が増加し、時間制限が設けられたり電源席に客が集中するなどの現象が起こっている。
こうした状況を受けて、学生の間で注目度が上がっているのが、老舗の喫茶店チェーン『喫茶室ルノアール』だ。これまで、どちらかというと利用者はサラリーマン層が多いイメージだったが、学生たちの「穴場スポット」となっているのだという。卒業論文を執筆する際に、同店をよく利用していたという男子学生Aさん(22歳)は次のように話す。
「卒論を書くためにパソコンを使うのでコンセント完備のカフェを探していました。元々『スタバ』や『サンマルクカフェ』で作業していたんですが、どこも混み合っていて電源席の取り合いになっていた。そこで普段は利用しない『ルノアール』に出向いたのがきっかけ。
土日でも基本的に空いていることが多いので穴場でとても助かりました。追い出されないし、サービスでお茶を出してくれるのも嬉しい。少々コーヒーの値段が高いこととタバコの臭いが気にならなければ『ルノアール』で事足ります。同じチェーンが運営する『Cafe Miyama』にも電源はあるのですが、混んでいることも多いので『ルノアール』を選んでいました」(Aさん)
また大学生だけでなく、高校生も『ルノアール』を利用することがあるという。大学受験の真っ最中だという女子高生Bさん(18歳)は、こう話す。
「休日だと、大きな駅の『スタバ』や『マック』は電源席が埋まっていてほとんど利用できません。みんな勉強道具を出してずっとそこに居ついているんです。自分はスマホの充電をしたくて電源がある喫茶店を探していて、それで以前母と行った『ルノアール』を利用しはじめました。
基本的に利用者はおじさんやおばさんが多く、にぎやかでないので集中できます。『スタバ』で2杯頼むなら、『ルノアール』で1杯頼めば安くすみます。『スタバでおしゃれに勉強したい』という高校生には向いてないけれど、“コンセント難民”になるくらいなら『ルノアール』に行った方が実利的だと思います」(Bさん)
中高年層に人気と思われていた『ルノアール』だが、電源席を希望したり、落ち着いた時間を過ごしたいる若者世代からも注目を集めている。