スポーツ

村田兆治氏 門田博光氏にサヨナラHR打たれスライダー封印した

 週刊ポスト増刊『プロ野球&甲子園 甦る伝説』が発売された。発刊を記念して、元ロッテオリオンズのエース・村田兆治氏が「エースの条件」について振り返った。

 * * *
 野球はメンタルが強く影響するスポーツで、信じられるものは自分しかない。特に投手はそうだ。野手や相手打者のせいにしたい気持ちをグッと抑えて、失敗から学ばなければいけない。
 
 実は私が練習の虫といわれるようになったのも「サヨナラ」が原因だった。南海の門田博光にサヨナラホームランを打たれたのがきっかけだ。完璧と思って投げた内角低めギリギリのスライダーをスタンドに運ばれた。それからスライダーを封印してストレートを磨きに磨いた。負けを素直に受け止めないと成長はないのだ。

 もちろん簡単なことではない。サヨナラ負けをするとその日は悔しくて寝られない。そのうえ打たれる球は決まって最高の1球ということが多い。目を瞑っても”最後の1球”が頭に浮かんでくる。次の登板まで不安がつきまとい、そのバッターと対戦すると打たれたシーンが脳裏に甦ってくる。だが、その恐怖を乗り越えないと一流ピッチャーにはなれない。

 私は打たれたコースと同じ球で勝負した。そこで打たれたらまた同じ球で勝負する。それでしか克服できないと思った。今のようなデータ野球では同じ球を投げさせない。だから大エースが誕生しないのではないかと思う。大投手と呼ばれる人はそうやって相手をねじ伏せてきたものだ。

 たった1球の失投でゲームが決まるが、それがプロ野球の醍醐味である。だから「野球は筋書きのないドラマ」と言われるのだと思う。

※週刊ポスト2015年3月6日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

日本人女性が“路上で寝ている動画”が海外メディアで物議を醸している(YouTubeより、現在チャンネルは停止されています)
《日本人女性の“泥酔路上寝”動画》成人向け課金制サイトにも投稿が…「モデルさんを雇って撮影された“仕込み”なのでは」「非常に巧妙」海外拡散を視野か
NEWSポストセブン
外国人が驚くという日本の新幹線のトイレ(写真は東北新幹線)
新幹線トイレの汚物抜き取り現場のリアル 遅延が許されない“緊迫の30分間”を完遂させるスゴワザ一部始終
NEWSポストセブン
被害者の「最上あい」こと佐藤愛里さん(左)と、高野健一容疑者の中学時代の卒業アルバム写真
〈リアルな“貢ぎ履歴”と“経済的困窮”〉「8万円弱の給与を即日引き落とし。口座残高が442円に」女性ライバー“最上あい”を刺殺した高野健一容疑者(42)の通帳記録…動機と関連か【高田馬場・刺殺】
NEWSポストセブン
《歌舞伎町・大久保公園》ガードレールの一部を撤去も終わらない「立ちんぼ」と警察のいたちごっこ「ほとんどがホストにお金をつぎ込んで困窮した人たち」
《歌舞伎町・大久保公園》ガードレールの一部を撤去も終わらない「立ちんぼ」と警察のいたちごっこ「ほとんどがホストにお金をつぎ込んで困窮した人たち」
NEWSポストセブン
新生timeleszは社会現象に
菊池風磨のシンガーソングライター父、YouTuberとして本格始動 親子共演は「簡単じゃないかも…」、目標は「ファンと共に仲間と共に日本武道館です!」
女性セブン
2021年に渡米以降、1度も帰国していない
《新生活》小室圭さんと「ゆったりすぎるコート姿」眞子さん、「住宅リフォーム」特化の大型ホームセンターで吟味していたもの
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さん(Xより)、高野健一容疑者の卒アル写真
〈50まんでおけ?〉高野容疑者が女性ライバー“最上あい”さんに「尽くした理由」、最上さんが夜の街で吐露した「シンママの本音」と「複雑な過去」【高田馬場刺殺事件】
NEWSポストセブン
ご結婚のハードルが下がりつつある愛子さま(2024年10月、佐賀県。撮影/JMPA)
愛子さま“生涯皇族”としての将来に光明 皇族数確保に関する会議で政府関係者が「女性皇族の夫に御用地での同居と皇宮警察による警備を認める」の見解を示す
女性セブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・“最上あい”こと佐藤愛里さんが刺傷され亡くなった。送検される高野健一容疑者(左・時事通信フォト)(右が佐藤さん、Xより)
〈シンママとして経済的に困窮か〉女性ライバー “最上あい”さん(22)、高野容疑者(42)と出会った頃の「生活事情」 供述した“借金251万円”の裁判資料で判明した「2人の関係」【高田馬場・刺殺事件】
NEWSポストセブン
角田信朗が再婚していた
格闘家・角田信朗が再婚していた!「本当の意味でのパートナーに出会えた」「入籍はケジメです」お相手は23歳年下の“女将さん”
NEWSポストセブン
ライブ配信アプリ「ふわっち」のライバー・最上あいさんが刺傷され亡くなった(左・Xより)
〈オレも愛里なしじゃ生きていけない〉高田馬場刺殺事件・人気ライバー“最上あい”さん(22)と高野健一容疑者の“親密LINE”《裁判資料にあったスクリーンショット》
NEWSポストセブン
体調不良を理由に休養することになったダウンタウンの浜田雅功
《働きづめだった浜田雅功》限界だと見かねた周囲からの“強制”で休養決断か「松本人志が活動再開したときに、フル回転で働きたいからこそ」いましかないタイミング
女性セブン