さだまさし(62才)の名曲『風に立つライオン』に大沢たかおが惚れ込んで、小説、映画化を熱望。さだが曲を発表してから28年の歳月を経て、ついにその映画が完成した。3月14日公開の同作、主演はもちろん大沢である。
『風に立つライオン』がリリースされたのは1987年秋のこと。長崎大学熱帯医学研究所からケニアに派遣された実在の医師・柴田紘一郎氏の体験にインスパイアされて、さだが作詞作曲した。
映画は歌と同じく1980年代後半を時代背景にし、医療事情はもちろん、内紛が続くアフリカの政治や経済事情も織り込まれている。
日本にいる私たちにとっては、遠い国アフリカ。撮影の合間にふたりが見たアフリカとは? ふたりが公開を前に作品への思いを語り合った。
さだ:マサイ族は女性がよく働いてますね。マサイの女性は素晴らしいですよ。身につけるものの色彩感覚も素晴らしいし、家も自分で造りますからね。男性は狩りをしたり、放牧したり、と家畜の世話で一日が過ぎていくでしょう。ほぼ家にいない間に、女性が家を造ったり修理したり、村をつくるんですね。
大沢:マサイには素晴らしい日本女性もいました。
さだ:『風に立つライオン』の歌を聴いて、アフリカに行っただけじゃなくて、マサイ族の奥さんになった人がいましたね。今回、大沢くんと一緒にお会いしましたけど、明るくてたくましかった。ほかにも多くの日本人が、女性も男性もアフリカで働いている。
NPO法人『ロシナンテス』を立ち上げスーダンで活動している川原尚行さんも、この歌に影響を受けたひとり。それだけこの歌が、大沢くんだけじゃなくて、いろんな人に影響を与えてしまったんだなと思ったら、何だか責任を感じてしまって。それだけの何かがあの曲にはあったんでしょうけど。でも、曲を書いてからもう30年近く経ってるので、ぼくだけのものじゃないよね、あの歌は(笑い)。
大沢:ぼくは、さださんや神さまからもらった使命とか生き甲斐がこの映画を通して、人々に渡せるので楽しみです。こうした生き甲斐を与えられたぼくは幸せだと思っています。ただの仕事だとか、まして趣味とか好きとか、そういうレベルでは到底できない仕事でしたから。
さだ:映画を見た人が、大沢くんの笑顔がいい、って言うんですよね。笑顔っていうのは、日本男児の武器なんですよ。つい最近ではテニスの錦織圭選手の笑顔がいいと言われているでしょ。つらいときでも苦しいときでもうれしいときでも、笑顔っていうのは大和魂なんですよね、きっと。
※女性セブン2015年3月12日号