とあるデータによると、65才を超えると、3人に1人が年に1回以上転倒するという。厚生労働省の統計でも、転倒は75才から急激に上昇することがわかっている。しかもその4割以上が、家庭内で転倒している。“片づけの伝道師”として著書『親の家の片づけ 決定版』(小学館)も話題の安東英子さんはこう話す。
「高齢になると、電気コードや敷居などの段差はもちろん、じゅうたんの端など、かつてはつまずくことがなかった、ちょっとした段差でも転ぶようになるのです」(以下、「」内は安東さん)
転倒の原因は、筋力の低下、バランス機能の低下、視力障害、関節障害などがあげられる。通常、30代から筋肉が減少しはじめ、特に下半身の筋肉が圧倒的に減っていく。
また、日本眼科学会によると、早い人では40代から白内障が始まり、なんと80代の人のほぼ100%に何らかの症状が発見されるという。
「ですから、転倒防止のためにも、物を減らしてすっきり暮らすことは、シニアの生活のポイントになるのです」
しかし、普通に毎日生活しているだけでも、物は確実に増えていく。それが高齢になると、記憶力が低下するため、必要な物が探せなくなったり、在庫の管理ができず、何度も同じ物を買うことが増えがちだ。
「老化と家の汚れは密接に関係しています。年をとるほど頑固で保守的傾向が強くなります。こうなると、自分で手におえなくなった家の片づけを、子供にしてもらうことさえ、素直に受け入れられなくなり、気まずい親子関係になりかねません。問題に気づいたなら、親であるあなたが自分でできる片づけを、今すぐ始めましょう」
※女性セブン2015年3月12日号