世間を騒がせている大塚家具の“お家騒動”。発端は2014年7月、現会長の大塚勝久氏(71才)が、2009年から社長を務めていた長女の久美子氏(47才)を解任したことだった。
「彼女は会員制で高級製品を売っていくという勝久さんの経営を“時代遅れ”と否定し、安くて良い品を提供するという、カジュアルな家具販売会社へと転換しようとしたんです。それに反対した勝久さんが彼女を解任して社長復帰し、高級路線に戻したんですが、今年1月、今度は久美子さんが取締役会で勝久さんを解任したことで、事態は泥沼と化しました」(経済誌記者)
父娘関係はこじれているが、久美子氏はかつて、父の期待を一身に受けて育った娘だった。
大塚家具は、1969年、勝久氏が埼玉県春日部市に設立し、一代で築き上げた会社である。高度経済成長とバブル到来によって、勝久氏の「高級路線」が大当たりし、1990年代に入ると業界1位に上り詰めた。そんな勝久氏の元で育ち、幼少期から帝王学を叩き込まれていたのが久美子氏だった。
「日本舞踊や茶道を習っていて、典型的な社長令嬢でした。勝久さんは“この娘は必ずおれの後を継ぐ”と、彼女には特別、目をかけていましてね…。彼女は小学校の時から、夏休みのたびに地方の家具工場に連れて行かれ、父と一緒に現場視察をしていたそうです」(大塚家を知る人物)
一橋大学を卒業後、旧富士銀行に入社した彼女は、国際広報を担当し、3年後に退職して大塚家具に入社。経理や総合企画部を経て、入社2年後にもう取締役になっていた。
「一族経営の会社であること以上に、彼女が優秀だったんです。経理時代にはコストカット案を進めて、財務状況をだいぶ改善させています。2005年に1度退社して、企業の経費削減を担当するコンサル会社を立ち上げたほどです。“金持ちほどケチだ”っていうけど、彼女もまた、生来的に余計な支出が許せないタチなのかもしれません」(前出・経済誌記者)
いわば経費削減の鬼ともいえる久美子氏は、その後、2009年に勝久氏に呼び戻され、社長に抜擢される。そして、以後、経営方針を巡って父と対立するようになる。
※女性セブン2015年3月19日号