神奈川県川崎市で発生した中学1年生・上村遼太さん(享年13)が殺害された事件。主犯格とみられる18才の少年Aのほか、B(17才)、C(17才)の3人の少年が逮捕されたが、事件発覚後、ネット上には“犯人はこいつらだ”といった情報が拡散。顔写真や実名、住所などの個人情報も出回っていた。
こういったネット上の情報に加え、防犯カメラの映像や、稚拙な犯行状況ということもあり、すぐさま容疑者が逮捕されると思われていた今回の事件。しかし、容疑少年たちが逮捕されるまで1週間を要した。
「上村くんの同級生や、周辺の中高生など、未成年が聞き込み対象ということで、捜査はかなり難航したようです。警察官に話を聞かれると萎縮してしまう子も多く、記憶違いなどから間違いが起きてしまう心配がありました。聞き方が悪いと、ありもしない証言が出てきてしまう危険性もあったんです」(捜査関係者)
さらに、神奈川県警が抱える“ジレンマ”も、捜査員がデリケートにならざるを得ない理由だった。
「Aたちが未成年だったことも捜査が遅れた理由にあります。聞き込み段階では、“Aたちが事件に関係しているかもしれない”という状況でしたが、大々的に名前や顔写真を出して聞き込みをしてしまうと、インターネットやツイッターなどのSNSで“犯人”として広まってしまう可能性もあった」(前出・捜査関係者)
そもそも、神奈川県警はオウム真理教関連の坂本弁護士一家殺害事件のずさんな捜査などが尾を引いて、叩かれやすい。昨年初めの集団強姦などで逮捕した容疑者の逃走劇や、同年10月の厚木市の女性殺害事件でも、事件直後に元交際相手の男に事情を聞いていたにもかかわらず、逮捕できたのは2か月以上経った今年1月中旬だった。
「今回の事件では、必ず成果をあげないといけなかったわけで、事件発覚後すぐに90人以上の捜査員を動員するほどでした。一方で容疑者が少年ということもあり、“もし間違えていたらただでさえ低い信用がさらに失墜する”という懸念もあった。またA、B、Cを同時逮捕することで、証拠隠滅や供述の同調を防ぎたかった。そのせめぎ合いの1週間だったわけです」(前出・捜査関係者)
※女性セブン2015年3月19日号