日本ハムのキャンプ地である沖縄県の名護市営球場に、投手として最多本塁打記録(38本。うち代打本塁打2本)を持つ“元祖二刀流”金田正一氏が姿を見せた。お目当ては二刀流・大谷翔平である。金田氏が早速、大谷に迫った。
金田:打者と投手で体のケアの方法は変えているのか。
大谷:打者としての疲労はあまり感じません。疲労度はやはり投手としてのものが圧倒的なので、投手としてのケアに重点を置いていますね。
金田:野球は90%が投手力だからな。しかし、こんないい球を持っていて、先人の投手記録を全部塗り替えてやろうという気持ちにはならんのか?
大谷:もちろん、やるからにはトップの方々の記録を追い抜くくらいの気持ちでやっています。
金田:そうだな。プロ入りして何勝しているんだ?
大谷:2年で14勝です。1年目はあまり投げていないので……。
金田:ワシは2年で30勝、14年連続で20勝した。これは自慢話でも何でもない。大谷君ならそれを上回る記録を作れるだろう。もちろん、自分の人生だから己の信じる道を進めばいいが、とてつもない記録を追いかけてもらいたいね。メジャーには行きたいんだろ?
大谷:ハイ、元々そう思ってプロに入りましたから。
金田:日本ハムも勇気をもってメジャーに行かせないと(と、球団広報を横目でチラリ)。向こうでもすぐに勝てると思うか?
大谷:プロ入り前はすぐに勝てるとか、通用するという自信はありませんでした。でも今はやってみたいという気持ちがどんどん大きくなっています。
金田:メジャーでも二刀流は話題になるぞ。ちなみにマウンドで投げている時と、打席に立っている時と、どっちが楽しい?
大谷:楽しい方ですか。うーん……やはりゲームは投手が作るものだと思っているので、そういう楽しさは投手にあります。でも打者には自分のバットでゲームを決めるという楽しさもある。違う意味で、どちらにも楽しさがあると思います。
金田:超一流の答えだな。頭が良すぎる。お前、まさか二刀流じゃなくて二重人格じゃあるまいな。
大谷:ええっ? 違いますよ、アハハハ!(大爆笑)
金田:これからは“魔物”に気をつけろよ。
大谷:魔物?
金田:オンナに決まっとるじゃないか。
大谷:僕はモテないので。
金田:ウソをつけ!
大谷:ホントですって!(爆笑)
金田:酒は飲むのか?
大谷:20歳になってまだ半年しかたっていませんが、少しだけ飲みます。すごく酔うところまでは、まだ経験がありません。
金田:ワシは中学生の頃から飲んでいたぞ。
大谷:ええっ?(笑い)
金田:まァそんなことはどうでもいい(笑い)。自分の野球人生、いけるところまで二刀流を続ければいいさ。あとは悪いお姉さんに捕まらないようにな。
大谷:気をつけます!(笑い)
※週刊ポスト2015年3月13日号