中国で最高指導者、習近平・国家主席の重要講話などで使われている格言や明言、ことわざなどの出典やその意味、解釈を解説した「習近平用語辞典」が出版された。
毛沢東主席やトウ小平氏ら歴史に名を残す最高指導者の解説書は多数出ているが、最高指導者に就任してわずか2年あまりしか経っていない習氏のような業績も乏しい指導者の用語辞典が出版されるのは極めて異例。それだけに「個人崇拝強化の現れ」との見方が強まっている。
中国国営新華社電によると、同書は中国共産党機関紙「人民日報」を発行する人民日報社から出版。習氏が2007年に党政治局常務委員に就任してからこれまでの重要講話などで引用した135の故事や格言などの意味や出典を収録している。全部で13章、328ページ、26万華字からなっている。値段は39元(約740円)。
習氏が最も頻繁に引用しているのが孔子の言葉などをまとめた論語で11回、人物では中国北宋代の政治家、詩人、書家である蘇軾で7回。
中国では昨年6月下旬、習氏の「重要講話読本」が出版されて以来、昨年末現在の半年間で1500万部以上発行されているほか、数種類の習近平講話集が発行されており、用語辞典はその参考書的意味合いをもつとみられる。
習近平用語辞典が出版されたことについて、台湾紙「自由時報」は「習近平用語辞典は『習近平思想の精髄』と銘打っており、20世紀の中国で最も多く出版された毛沢東語録にならったもの。習近平用語辞典も大衆の洗脳を目的としているのは間違いない」と解説している。
しかし、北京のジャーナリストは「完全に時代に逆行している。これらの書籍を出せば出すほど、民衆の心は習氏から離れていくのは確実だ」と皮肉っている。