東日本大震災から4年が経ったいま、巨大地震と火山噴火の密接な関係に注目が集まっている。仮に富士山が噴火した場合、どうような被害が予想されるのか。危機管理の専門誌『リスク対策.com』編集長の中澤幸介氏がいう。
「過去のM9級地震によって起きた噴火は都市部から離れており、直接的被害はそれほど大きくなかった。その点、東京は富士山をはじめ多くの火山の降灰リスクを抱える、世界でも極めて稀な都市なのです」
火山灰には有害成分が含まれるため、目、鼻、喉、肺などへの健康被害のほか、河川が汚染されて飲料水が不足する事態も考えられる。さらに通信障害や交通網への打撃も深刻だ。
「有珠山の噴火では路面が濡れていれば5ミリ程度、乾燥していても2センチほど積もれば車がスリップして通行不能になった。首都圏でも道路が麻痺し、鉄道も止まります。空港では滑走路が降灰で使えなくなるほか、航空機のエンジンが故障する懸念もあります」(中澤氏)
東京に1センチの降灰があった場合、その量は10トントラック250万台分に相当する。1707年の宝永大噴火ではそれより大量の火山灰が江戸に降り注ぎ、川崎では5センチもの降灰があったと記録されている。
「仮に宝永大噴火と同じ規模の降灰があれば、その量は震災瓦礫の約14倍と想定される」(中澤氏)というから、降灰の処理は困難を極め、都市機能の回復にはかなりの時間を要するだろう。
※週刊ポスト2015年3月20日号