中国では習近平・国家主席の主導によるぜいたく禁止令が大々的に展開されているが、その一環として国有企業の給与改革が実施されており、特に高額報酬として定評がある国有銀行トップの年収が半分から3分の1の60万元(約1200万円)に減額されるなど、大幅な給与カットが話題になっている。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
国有銀行のなかで最も高い年収を得ているのは中国工商銀行の姜建清・頭取で200万元(約4000万円)。しかし、中国共産党が昨年12月に国有企業の給与改定通達を出したことから減額が決まり、5大国有商業銀行トップの年収は税引き前の段階で、一律60万元と定められた。このため、姜氏は140万元(約2800万円)も給与がカットされることになる。
銀行以外にも、給与カットは行なわれている。中国国有の送電最大手、国家電網トップの劉振亜会長は同紙の取材に対して、これまでの年収は税引き前の段階で120万元だったが、「数十万元の給与カットとなった」ことを明らかにしている。劉氏は具体的な数字を口にしなかったが、5大銀行と同じ60万元とみられる。
中国の株式上場している国有企業1000社の管理職の平均年収は2013年の段階で、44万8000元(約896万円)で、トップのそれは77万3000元(約1546万円)と銀行よりも非常に低くなっており、これらの企業からも銀行の高収入に批判が高まっていた。これらの企業トップも年収で60万元程度に抑えられるとみられる。
それでも、ネット上では「給料カットしてまだ60万元もあるとは、もらいすぎだ。庶民は5万元くらいだ。もっとカットすべき」との声が根強く、「習近平はさらに改革を断行すべきだ」として習近平主席の辣腕に期待する声が高まっている。