「パンの聖地」といっても過言ではない千葉県松戸市の有名店「Zopf(ツオップ)」。巷では“ツオップ行脚”という言葉があるほど、全国からパン好きが集まる超有名店となった。1日の来店者数は1000人以上、年商は3億円を超える!
「うちの強みはどんな人でも食べたいものが見つけられるよう、種類を揃えていることですね」と、『ツオップ』オーナー夫人の伊原りえさんは笑顔を見せる。
約5坪ほどの小さな店には、約300種類ものパンが崩れ落ちてきそうなほどぎっしり!
パンの一例を挙げると…1日1500個売れるというプチあんぱん(76円)は薄皮に甘い有機栽培の北海道産小豆をぎっしり使用。Z酵母食パン(464円)は、庭のぶどうから採取した酵母で作られた。1000個売り上げたこともある名物のカレーパン(206円)は、冷めてもザクザク食感が残るよう揚げ時間を長くした。パン粉も無糖パンを焼いて作るこだわりようだ。…たしかに、みんな食べてみたい!
「お客さまからリクエストを受けるうちにこの数になっていたんですけど(笑い)、数を減らそうと思ったことはないですね。だって、そのお客さまを“もう来ないで”と拒絶するのと同じですから」(伊原さん)
大事にしているのは、閉店の瞬間まで“焼きたて”にこだわること。
「ギリギリ店に滑り込んだお客さまにも味わっていただきたくて、カレーパンは閉店時間1分過ぎても焼いていたこともあります。ロス(売り切れず廃棄処分になるもの)を恐れてはできませんね。うちのシェフ(夫の伊原靖友さん)は、ロスが少ないと、焼きが少なかったんじゃないか、と注意するほどなんです(笑い)」(伊原さん)
記者も焼きたてを一口ほおばると…まるで炊きたての新米を食べる時のような幸福感。甘くて優しくて嫌みがない。食べたいのに食べ終えるのが惜しく、しばし無言になってしまった。パンのこと、見くびってました。
※女性セブン2015年3月26日号