日本人の3人に1人が「痔持ち」だといわれているが、痔を治療するうえで、最も大切なのは生活習慣の改善だ。
「痔は薬や手術で症状が収まっても、しばらくすると再発するケースが少なくありません。痔になった原因を考えて生活スタイルを改善しなければ、また再発してしまう。投薬や手術といった治療はあくまでもサポートなんです」(平田肛門科医院・平田雅彦院長)
そこで、痔の予防や対策に役立つ生活習慣を紹介しよう。
【アルコールを控える】
「アルコール成分は、肛門を刺激して痔の原因になったり、痔を悪化させたりします」(マリーゴールドクリニック・山口トキコ院長)
さらにアルコールを飲みすぎると慢性的な下痢を起こしやすくなる。
【とうがらしには要注意】
辛いものは肛門を刺激し、炎症を起こす。香辛料のなかでも、とうがらしは要注意。大部分が体内に吸収されず便として排出されるので多く摂取すると肛門を非常に刺激してしまう。
【過度なダイエットはNG】
朝食を抜いたり、生野菜のサラダのみにしたりすると便秘を引き起こしやすい。
「食事の量自体が少ないので、便の量は少なくなり、おのずと便秘になりやすい。朝食はしっかりとって、胃腸の活動を促すことが大切です」(平田院長)
【食物繊維をたくさん摂取】
「きのこや海藻などに含まれる食物繊維は便をほどよく柔らかくしてくれます。主食を白米ではなく食物繊維が多い玄米や麦入りご飯にするのもおすすめです」(山口院長)
また前述したようなダイエットで生野菜のサラダばかり食べている人は栄養面でもNG。
「小鉢1つ分の生野菜サラダに含まれる食物繊維は、1日に必要な量の5分の1程度しかありません」(平田院長)
【便意を感じたらすぐトイレ】
便意を感じた時に我慢すると、便秘を招きやすい。便意を感じたら、迷わずトイレへ行こう。
【トイレタイムは3分以内】
長時間いきむことは肛門に負担をかける。トイレタイムの目安は「3分以内」だ。 「トイレで本や新聞を読んで長居するのはもってのほかです。便座に長く座っているだけで肛門周囲に負担がかかります。これは和式ではなく洋式トイレにもいえることです」(平田院長)
【シャワートイレは水流弱め】
大便には多くの細菌が繁殖しているため、排便後には、肛門の周囲を清潔にすること。肛門を汚れたままにしておくと、細菌が繁殖してかゆみや炎症を起こす原因になる。効果的なのがシャワートイレだが使い方には気をつけよう。
「水流を強くしすぎると肛門を傷つけ、皮膚炎の原因にもなりかねません。水流は弱めにしましょう。また、温水を便意の“呼び水”に利用する人もいますが、温水の強い刺激が肛門に当たらないと便意が起きない“シャワートイレ依存症”になることもあります」(平田院長)
※女性セブン2015年3月26日号