テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有が肘を故障し、17日にトミー・ジョン手術(※注)を受けた。今回のダルのケースも入れれば、2014年1月以降手術を受けた選手は34人(野手含む)に上る。
【※注/米国人外科医、フランク・ジョーブ氏によって考案された肘の靭帯再建手術。損傷した靱帯を切除し、別の部位から正常な腱の一部を摘出して移植する。1974年に初めて手術を受けたトミー・ジョン投手にちなんでそう呼ばれる】
投手にとって肘の故障が避けがたい宿命だとしても、心配されるのが、手術後にまた同様の活躍ができるかどうかだ。
興味深いデータがある。近年MLBでは、手術を経た復帰選手が以前より成績を残すケースが増えている。近年の例を紹介しよう。
手術年/投手/手術時年齢/術前の成績(勝・敗・セーブ・防御率)
→術後の成績(同)
■2009/ジマーマン/23/3勝5敗0セーブ・4.63
→54勝45敗0セーブ・3.00
■2010/ストラスバーグ/22/5勝3敗0セーブ・2.91
→38勝27敗0セーブ・3.20
■2011/Jラッキー/33/126勝94敗0セーブ・4.10
→24勝23敗0セーブ・3.6
■2011/ウェインライト/30/66勝35敗3セーブ・2.97
→53勝31敗0セーブ・3.00
■2012/Nフェリース/24/10勝7敗74セーブ・2.61
→2勝1敗13セーブ・1.73
『プロ野球なんでもランキング』(イースト・プレス刊)など野球関連の著書が多いライターの広尾晃氏はこう語る。
「代表的なのが手術直後にオールスターに選出されたストラスバーグや、2013年に最多勝を獲ったジマーマンの成功例です。
成功した選手たちに共通するのは、若いうちに手術しているということです。一見当たり前に思えるかもしれませんが、日本人選手はピークを過ぎてから手術を受けることが多い。日本人選手でも田澤純一のように20代で手術した選手は復活して好成績を挙げています」
8月で29歳になるダルは、手術後に復活を遂げるギリギリのタイミングかもしれない。
※週刊ポスト2015年3月27日号