中国では両脚が悪く歩けないふりをして、人々の同情を誘い、金銭をだまし取る「偽乞食」が横行している。偽乞食のなかには、1か月に6000元(約12万円)も稼ぎ、北京市内中心部にマンションを2つも所有し、乞食の現場に毎日地下鉄で通う者もいるという。中国国営中央テレビ局(電子版)が報じた。
ことの発端は、30代の男が毎朝同じ時間に、同じ地下鉄駅に現れ、トイレでボロボロの衣服に着替えをして、地下鉄駅構内で、さも脚が悪そうにして、腹ばいになって動き回って、金をせびっていることに地下鉄駅を巡邏中の警官が気づいたこと。
構内の防犯ビデオをチェックすると、毎朝、駅構内に入った男は夕方に再びトイレに入って着替えをして、歩いて駅を出ていることが分かった。このため、数日後、警官が駅構内にいた乞食を警棒で追い払おうとすると、この男は驚いて、慌てて立ち上がると、そのまま走って逃げてしまったという。
その後、中央テレビ局がこの話を聞き、男を探したところ、北京市内のある駅構内に出没していることが分かり、取材スタッフが男と交渉し、乞食をしている現場を撮影し、放送したところ、大きな反響があったという。
視聴者のなかから「私も同じような偽乞食を知っている」などとの声がいくつも寄せられたことから、テレビ局サイドで個別に取材したところ、マンションを2つも所有しているとか、ある農民工(地方からの出稼ぎ農民)は「仕事がないときに乞食をして金を稼いでいる」と語っていたという。ほとんどの偽乞食はiPhoneをもっており、偽乞食家業で結構稼いでいたというから驚きだ。
その後、YouTubeにも一般市民が撮影した偽乞食の映像が投稿されるなど、いまでは北京ばかりか、地方都市にも偽乞食が出没していることが分かっている。
「中国では時計から食品などありとあらゆるものニセ物が横行している。これは乞食も例外でないことを示している。要は騙されないことが肝心だ」というようなまともな反応がネット上に寄せられている。