国際情報

海外で「東京裁判は司法殺人である」とする複数の論証出る

 現在の歪んだ日米関係を紐解くには、やはり東京裁判の再検証が必要だ。近年、海外の識者、ジャーナリストのなかにも東京裁判に否定的な見解を示す者が少なくない。国際ジャーナリストの藤田裕行氏がそうした意見を紹介しながら、東京裁判の「連合国戦勝史観」からの脱却を訴える。

 * * *
「戦後七十年、二十一世紀の日本は、未だにマッカーサーによって呪縛されたままだ」

 そう語るのは、ヘンリー・スコット・ストークス氏。英国『フィナンシャル・タイムズ』の初代東京支局長、米国『ニューヨーク・タイムズ』の東京支局長などを歴任した、日本外国特派員協会の最古参ジャーナリストである。ストークス氏は近著『目覚めよ!日本』(日新報道刊、植田剛彦氏との対談)で「連合国戦勝史観の呪縛からの脱却」(副題)を訴えている。
 
「黒船で日本にやって来たペリーが、アメリカのために発見したのが横須賀でした。基地の占奪が来航目的だったのです。その一〇〇年にわたるアメリカの野望を実現したのが、マッカーサー元帥でした。
 
 昭和二十年九月二日、日本の降伏文書調印式が、戦艦『ミズーリ』の艦上で行なわれました。その場所こそが、ペリーの黒船艦隊の旗艦『サスケハナ』の投錨地(アンカレッジ)でした。マッカーサーは、ペリーが浦賀に来航した時に掲げた星条旗の現物を、アメリカ本土のアナポリスにある海軍兵学校から、わざわざ取り寄せたのです。アメリカは一八五三(嘉永六)年にペリーが目的としたアメリカ海軍基地を、ついに手に入れたのです。それが、アメリカの横須賀海軍基地です」
 
 ストークス氏も私も、日本外国特派員協会を「仕事場」にしている。斜め向かいには第一生命ビルがあり、マッカーサーは、皇居を睨むこのビルに連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)を置いた。
 
「公的組織のような名前をつけていますが、GHQはマッカーサー一人のものでした。神の御業の地上代行者と過信して、天皇も含め全てを意のままに操り、国際法も一切遵守することなく、占領政策を推進しました」(同前)
 
 ストークス氏は、極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判は、「欧米の秩序を脅かした日本に対する復讐劇」であり、連合国側の「プロパガンダ」に過ぎないと位置づけるが、彼のほかにも海外で、「東京裁判は司法殺人である」と論証する本が出版された。
 
『司法殺人』の著者デール・スミス博士は、現職のオーストラリア・ブリスベンの高等裁判所判事である。ブリスベンといえば、東京裁判のウェッブ裁判長の故郷でもある。不思議な因縁すら感じてしまう。私が邦訳準備をしているが、スミス博士は著書で、軍事裁判においてなぜ非軍人だった広田弘毅・元首相が処刑されなければならなかったのかと問題提起し、「広田の処刑は、『司法殺人』の疑いが濃厚である」と、法律の専門家の立場から論じている。

※SAPIO2015年4月号

関連記事

トピックス

歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
紅白初出場のNumber_i
Number_iが紅白出場「去年は見る側だったので」記者会見で見せた笑顔 “経験者”として現場を盛り上げる
女性セブン
弔問を終え、三笠宮邸をあとにされる美智子さま(2024年11月)
《上皇さまと約束の地へ》美智子さま、寝たきり危機から奇跡の再起 胸中にあるのは38年前に成し遂げられなかった「韓国訪問」へのお気持ちか
女性セブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
結婚を発表した高畑充希 と岡田将生
岡田将生&高畑充希の“猛烈スピード婚”の裏側 松坂桃李&戸田恵梨香を見て結婚願望が強くなった岡田「相手は仕事を理解してくれる同業者がいい」
女性セブン
電撃退団が大きな話題を呼んだ畠山氏。再びSNSで大きな話題に(時事通信社)
《大量の本人グッズをメルカリ出品疑惑》ヤクルト電撃退団の畠山和洋氏に「真相」を直撃「出てますよね、僕じゃないです」なかには中村悠平や内川聖一のサイン入りバットも…
NEWSポストセブン
注目集まる愛子さま着用のブローチ(時事通信フォト)
《愛子さま着用のブローチが完売》ミキモトのジュエリーに宿る「上皇后さまから受け継いだ伝統」
週刊ポスト
イギリス人女性はめげずにキャンペーンを続けている(SNSより)
《100人以上の大学生と寝た》「タダで行為できます」過激投稿のイギリス人女性(25)、今度はフィジーに入国するも強制送還へ 同国・副首相が声明を出す事態に発展
NEWSポストセブン
連日大盛況の九州場所。土俵周りで花を添える観客にも注目が(写真・JMPA)
九州場所「溜席の着物美人」とともに15日間皆勤の「ワンピース女性」 本人が明かす力士の浴衣地で洋服をつくる理由「同じものは一場所で二度着ることはない」
NEWSポストセブン