春場所まで続いた横綱・白鵬と協会の「冷戦」。大鵬の幕内優勝32回を超え、春場所では34回目の優勝を達成し「最強横綱」の称号を手にしているが、その強さゆえの驕りなのか、あるいはこれが白鵬なりの「品格」なのか。3月23日発売の週刊ポスト(4月3日号)は、歴代6位の幕内優勝22回を誇る貴乃花親方に、白鵬についてどう考えているかを直撃している。
──最近の白鵬は、髷を結いながら受けることが慣例の囲み取材の時に、記者のほうではなく壁を向いて座っている。
「相撲の場合は、支度部屋に記者さんが自由に入ってきて取材できますが、あそこは更衣室ですからね。他の競技で選手が裸のところに入る文化はないじゃないですか。競技が終わって、気持ちを静めるところでもあるわけで、本来は表に出ない部分ですから」(貴乃花親方。以下「」内同)
──親方も白鵬と同じ気持ちになったことがある?
「そうですね……。頭と頭のぶつかり合いをして、その衝撃はみなさんが想像している以上のものです。その興奮状態が支度部屋でも続いています。それで喋りきれないこともあったと思います」
白鵬を擁護しているように聞こえるが、自らの体験からくる心底の同情なのかもしれない。
貴乃花親方もまた孤独な横綱であった。明るいキャラクターの兄・若乃花と対照的に口数が極端に少なく、求道者のような佇まいで黙々と鍛練を重ねた。現役時代は「何を聞いてもほとんど答えない記者泣かせの力士だった」(相撲ジャーナリスト)という一面は今の白鵬と重なる。
しかし、寡黙とはいっても横綱・貴乃花は記者会見を拒否するようなことはなかったし、ましてや審判を批判したこともない。強さだけでなく、そうした姿勢が「大横綱」と称された所以だった。
そして現在は協会の大幹部として力士たちに大相撲の品格を守らせる立場だ。それは相手が史上最強の横綱であっても同じだろう。
なお同誌はさらに、白鵬の品格について貴乃花親方に訊き、とマスコミの冷戦や千代鳳と琴勇輝の「雄叫び」に対して「やめろよ!」と注意したことについても見解を問うている。