センバツ開幕を目前に、4月からも指揮を執るはずだった名門PL学園野球部の「校長監督」が突然解任された。高校野球ファンのみならず部員、保護者にも衝撃を与えた人事の裏で何があったのか。
「えっ、校長センセがやめはるんですか? 練習試合をやった昨日(3月14日)も、ユニフォームを着てグラウンドに来てはりましたけど。いつものことですが、私らは何も知らされてません」
PL学園の現役野球部員の保護者は、監督を務める校長・正井一真(67)の退任を聞いて驚きの声を上げた。
3月13日の金曜日に、パーフェクトリバティー(PL)教団は、大規模な人事異動を通達し、その中にPL学園に出向していた正井が含まれていた。結局、部員および保護者は17日の日刊スポーツで正井の退任を知ることとなる。
教団は廃部の危機にある野球部の当事者たちにさえ、何も知らせていなかったというのだ。
これまで本誌でレポートしてきたとおり、春夏通算7度の甲子園制覇を誇るPL学園野球部は、2013年2月の暴力事件発覚によって当時監督の河野有道が辞任し、同年の秋季大阪大会からは野球経験のない正井が代行監督を務めてきた。
前出の保護者は後日、呆れたようにこう嘆息した。
「(野球未経験の指導者だから)もともとおれへんのと一緒ですから、怒りもありません。うちの息子に確認すると『へえ、そうなん?』と。部員たちも聞かされていなかったみたいです」
しかし、内示前週の8日も正井は続投に意欲を見せ、練習試合でベンチから選手に向けサインを送っていたという。退任は、正井にとってさえ寝耳に水だったようだ。
なお23日には、PL教団職員で金沢北教会長などを務めた原加寿雄(53)が新監督に就任すると報じられている。
(文中敬称略)
●柳川悠二氏(ノンフィクションライター)と本誌取材班
※週刊ポスト2015年4月3日号