籾井勝人・NHK会長が今年1月2日、私用でゴルフに出かけた際に使ったハイヤー代約5万円がNHKに請求されていた問題は、すでにNHK経営委員でつくる監査委員会が経緯の調査に入った。
「本当にハイヤー代だけだろうか。一般企業なら“経費”で説明がつく支出でも、受信料で支えられているウチ(NHK)では認められないことも多い。籾井さんは商社出身だから、飲食にしても交際費にしてもそのあたりがユルい……」
あるNHK中枢幹部は頭を抱える。3月16日、参議院予算委員会に参考人として呼ばれた籾井会長は、NHKを通して発注したハイヤーを私用で使ったことは認めたが、事前に「代金は自分で払う」といって利用したと強弁。
詳細をなかなか語ろうとしない籾井会長は委員会を紛糾させた末に、自分のもとに請求書が来た3月9日に秘書室を通じて代金を支払ったと明かした。これに呆れるのはNHK幹部だ。
「局内には諸経費の支払いや精算は1か月以内にしなければならないという厳しいルールがある。2004年に紅白歌合戦の担当プロデューサーが制作費を飲食費などに不正支出していた不祥事を機に、再発防止のために定められた。1か月の期限から1週間も遅れるようなら、経理部から催促が来る。
籾井会長の釈明は2か月以上も後に請求が来て、支払ったというものだ。制作現場でも厳守している経理のルールを会長自ら堂々と破ったというなら大問題だし、恐らくはそうではなく、内部告発がなければ払うつもりがなかったことの証拠だろう」
そもそも、NHKの会長や副会長、理事ら役員は高額な「役員交際費」が使える。その額は12人の役員合計で年間2380万円(税別。2014年度)。役員交際費の使い途は、会食費や野球などの各種チケットや贈呈品、土産の購入費などまで幅広く認められている。
NHKの予算のほとんどは受信料収入によっている。役員の飲み食いや付き合いに使われるカネも、もちろん「みなさまの受信料」である。自分たちで稼いだカネではないからこそ、使うならば使い方と使い途は公正で透明なものでなければならない。
※週刊ポスト2015年4月3日号