中国の今年の4年制大学卒業予定者が史上最高の749万人に達するが、深刻なことにこのうちの20%に当たる150万人が就職できないと予測されている。
中国ではここ数年来、就職氷河期が続いており、昨年の段階で大卒者のうち200万人の若年労働者が失業している。今年の150万人を加えて350万人の大卒者が就職できないとなれば、若者の不満が高まり、都市部で大規模な反政府暴動が起こるとの懸念が強まっている。
749万人という数字は李克強・中国首相が今月15日に閉幕した全国人民代表大会(全人代)で発表したもので、中国の大卒者数は年々増え続けている。2010年には631万人だったものが、2011年には660万人。2012年は680万人。2013年は699万人で、昨年は727万人と700万人台の大台に乗っている。
日本の昨年の大卒者数は56万5000人で、中国は日本の13倍にも達している。中国の場合、2000年前後に従来の専門学校を大学に格上げするなど大学の数が飛躍的に増加したことも、この背景にある。
新規雇用が増えないこともあって、大卒者全員が就職できず、社会問題化している。特に、昨年は地方の農村部の大学卒業者の3割が就職できないという事態に陥った。今年はさらに深刻だ。
これに対して、李克強首相は今年の新規雇用の就業者数を1000万人と見積もっている。中国政府は失業率を「4.3%」と発表しているが、実態は10%近いとの専門家による分析もあり、1000万人の新規雇用では焼け石に水だ。
しかも、これが本当に実現できるかどうかは経済成長率にかかってくる。李首相は全人代で今年の経済成長率を7%前後としているが、経済専門家のなかでも「4.4%成長」(英国のシンクタンク「ランバート・ストリート研究所」)との低めの予測を明らかにするところもあり、李首相が打ち出した経済成長率が達成できるかどうか、懐疑的な見方をする向きも多い。
かりに、7%成長ができなければ、新規雇用目標の1000万人も下方修正せざるを得なくなり、それに伴って失業者数も増加することになる。そうなれば、ただでさえ所得格差の拡大で不満がたまっている民衆の抗議行動が激化することが予想される。それが大きな暴動に繋がりかねず、1989年の天安門事件のように、学生や若者が中心の全国的な反政府争乱に発展しかねないであろう。