IS(イスラム国)によるとみられるテロ事件や紛争が、いっこうにおさまる気配がみられない。ベラルーシやイラクなどへ長年にわたり医療支援を続けている、ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が、自分なりのテロとの闘い方について述べる。
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これまでも何度となく書いてきたが、僕が代表を務めているJIM-NETは、イラク北部の町・アルビルに拠点を置いて、戦争で傷ついたり、白血病に苦しむ子どもたちを助ける活動を続けてきた。
2014年末には、僕もIS(イスラム国)から逃れてきた難民キャンプを訪ね、子どもたちの診察をし、毛布を配り、炊き出しをした。あくまで非軍事にこだわり、医療に特化した人道支援をし続けてきた。
こんな時期になぜイラクへ? と思う人もいるだろう。かっこよく言えば、僕は聴診器でテロと闘いたい。
武器を持って闘えば、必ず犠牲者が出る。その多くは女性や子どもたちだ。激化する戦火から逃れて難民になった、そのキャンプを回って、治療できる命を1つでも多く助けたいのである。
危険地帯に入るとき、それが援助であれ、ビジネスであれ、十分な準備と覚悟が必要になる。怪我をする危険、誘拐される危険、細菌やウイルスなどに感染する危険、殺される危険などなど―様々な危険にさらされる。
自分では、十分な準備をしたと思っても、万が一のことがないとも限らない。その危険を覚悟の上で、イラクに行ってくるつもりだ。今や100万人以上のビジネスマンが世界を飛び回っている時代だ。それを止めろと、時計の針を巻き戻すようなことは出来ない。だから、非軍事、人道支援に特化して応援すればよいのだ。
幸いにイスラムの人は、平和を愛する日本と日本人が好きである。日本が丁寧にイスラムの人々を支えることで、イスラムの人たち自身がISの存在を許さないようにしていくことが大事だと思う。
※週刊ポスト2015年4月3日号