芸能

安藤優子 「母の認知を症受け入れるのに10年かかった」

1月に亡くなった母の認知症介護を語る安藤優子

 2000年からフジテレビ系報道番組『スーパーニュース』のメインキャスターを務め、3月30日からは午後の情報番組『直撃LIVE グッディ!』で司会を務める安藤優子さん(56才)が、今年1月に母・みどりさんを亡くしていたことを告白した。89才だった。

 みどりさんに異変が起きたのは73才の頃。当初、認知症とは夢にも思わなかった安藤さんは、「母の認知症を受け入れるのに10年かかった」と語る。そこには母が母でなくなっていくことへの葛藤と、長く苦しい闘いがあった。安藤さんが、母の介護を振り返る。

 * * *
 母が施設に入ったのは6年前です。その3年前にすい臓がんで父が亡くなり、埼玉の自宅でのひとり暮らしは徐々に難しくなっていきました。

 飼い犬の世話ができなくなり、お料理の上手な人だったのにお鍋は焦がしたまんま。冷蔵庫に腐った食品が山盛りで、ヘルパーさんも勝手に次々、クビにする。母が、私の知っている母ではなくなっていきます。

 姉がしょっちゅう様子を見に行ってくれましたし、私も週末は必ず泊まりに行きました。母もがんばってがんばって、でも3年が限度でした。

 私も仕事との両立が破綻してきて、姉の家には義母が、兄のところは共働き。じゃあ、誰が一緒に暮らせるの?と考えると、それぞれ同居には問題を抱えているわけです。かなり揉めましたが、「母には申し訳ないけれども、施設に入ってもらおう」って、3人で決めました。

 そのあとも大変でした。「自分の家があるのに、なんでそんなところに行かなきゃいけないの!」って母はものすごく怒りましたから。姉と兄と私の家のちょうど真ん中ぐらいにあるホームを探し、最初は「水道の工事をするから1週間だけ」と嘘をついて行ってもらったんです。

 頭のいい人だから、子供たちの嘘は見抜いていたと思います。入所後も、訪問客に隠れて脱出をはかったり、泣いたり、わめいたり、怒鳴り散らしたりが続きました。「あなたたちをここまで一生懸命育ててきて、なんでこんな仕打ちをされなきゃいけないの」。母に泣かれて、姉も私も泣きました。ひどいことをしていると思えて、「やっぱり私が一緒に暮らすわ」と言ったこともあります。

 家に来てもらっているお手伝いさんに、「優子さん、どうするんですか? 24時間どうやって看るんですか? 3人が等分の責任を負わなくちゃいけませんよ」と言われ、母に我慢してもらうしかないと心を鬼にしました。

 入所したとき母は歩けたし、自分はほかの入所者とは違う、という気持ちだったんですね。お風呂に入るときも、介助の職員をつねったり髪を引っ張ったり。誇り高い人でしたから、人の手を借りることが嫌で、ホームでの生活に慣れるまでに時間がかかりました。

 特に嫌がったのは、耳元で大きな声で話されること。必ず、「私は聞こえているわよ」って言い返すんです。食事のとき、ホームではエプロンのようなものをつけさせるんですが、彼女の誇りを傷つけるようでやめてほしいとお願いしました。汚れたら替えの服を用意しますから、と。

 要望を出すだけでは説得力がないので、家族も積極的に介護にかかわりました。姉と兄と私と、母の知人にもお願いし、毎日誰かは顔を出し、一食は介助するようにしました。連絡ノートを作って、「ちょっと熱がある」とか、“今日のみどりさん”の様子を書くようにして…。みんなに、ああでもない、こうでもないって、世話を焼かれて、母は幸せな人ですよね。

※女性セブン2015年4月9・16日号

関連記事

トピックス

違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
《美女をあてがうスカウトの“恐ろしい手練手管”》有名国立大学に通う小西木菜容疑者(21)が“薬物漬けパーティー”に堕ちるまで〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者と逮捕〉
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で「虫が大量発生」という新たなトラブルが勃発(写真/読者提供)
《万博で「虫」大量発生…正体は》「キャー!」関西万博に響いた若い女性の悲鳴、専門家が解説する「一度羽化したユスリカの早期駆除は現実的でない」
NEWSポストセブン
江夏豊氏が認める歴代阪神の名投手は誰か
江夏豊氏が選出する「歴代阪神の名投手10人」 レジェンドから個性派まで…甲子園のヤジに潰されなかった“なにくそという気概”を持った男たち
週刊ポスト
キャンパスライフを楽しむ悠仁さま(時事通信フォト)
悠仁さま、筑波大学で“バドミントンサークルに加入”情報、100人以上所属の大規模なサークルか 「皇室といえばテニス」のイメージが強いなか「異なる競技を自ら選ばれたそうです」と宮内庁担当記者
週刊ポスト
前田健太と早穂夫人(共同通信社)
《私は帰国することになりました》前田健太投手が米国残留を決断…別居中の元女子アナ妻がインスタで明かしていた「夫婦関係」
NEWSポストセブン
復興状況を視察されるため、石川県をご訪問(2025年5月18日、撮影/JMPA)
《初の被災地ご訪問》天皇皇后両陛下を見て育った愛子さまが受け継がれた「被災地に心を寄せ続ける」  上皇ご夫妻から続く“膝をつきながら励ます姿”
NEWSポストセブン
子役としても活躍する長男・崇徳くんとの2ショット(事務所提供)
《山田まりやが明かした別居の真相》「紙切れの契約に縛られず、もっと自由でいられるようになるべき」40代で決断した“円満別居”、始めた「シングルマザー支援事業」
NEWSポストセブン
新体操「フェアリージャパン」に何があったのか(時事通信フォト)
《代表選手によるボイコット騒動の真相》新体操「フェアリージャパン」強化本部長がパワハラ指導で厳重注意 男性トレーナーによるセクハラ疑惑も
週刊ポスト
1990年代にグラビアアイドルとしてデビューし、タレント・山田まりや(事務所提供)
《山田まりやが明かした夫との別居》「息子のために、パパとママがお互い前向きでいられるように…」模索し続ける「新しい家族の形」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン