4月から『水曜歌謡祭』(フジテレビ系)、『地球絶景紀行』(BS-TBS)のレギュラーが決まった森高千里(45才)。「自分の歌は全て子供のような存在」。そう語る彼女だが、中でも『渡良瀬橋』には特別強い思い入れがあるという。
しかし、2012年12月9日、歌詞に登場する「八雲神社」が全焼してしまう。3階建ての本殿や拝殿などおよそ122平方メートルが見るも無惨な姿となってしまったのだ。
「神社は869年に56代目清和天皇によって創建された足利でも最も古い総鎮守。緑豊かで昔から子供たちの遊び場としても愛されていた場所だったので、ここらの人の落胆はなんと表現したらいいのか。寂しかったね」(地元住民)
しかも、神社は10年前に改修を終えたばかり。再び地元住民から多くの寄付金を集めるのは不可能に思われた。
しかし、そんな時に神社に寄せられたのは森高のファンからの激励のメッセージだった。
「気をしっかり持ってください」
「一日も早い復興を待っています」
全国の多くのファンから、励ましの電話や手紙が届き、中には見舞金が同封された手紙もあった。
「神社は神具やみこしなども焼失してしまい、再建しようなんてすぐには考えられない状況でした。でも、そうしたファンからのメッセージを受けて、宮司さんは“ほったて小屋でも構わない”とすぐに仮の本殿を建てたんです」(別の地元住民)
行動を起こしたのはファンだけではない。森高もまた神社全焼のニュースに心を痛め、何かできないか模索していたという。
「森高さんはデビュー25周年のイベントがあって、八雲神社が全焼するわずか半年ほど前に20年ぶりに足利にやって来ていたんです。その時は八雲神社にもお参りをして…。だから、本当に信じられなかったんだと思います。『渡良瀬橋』は森高さんの特別思い入れのある曲。しかも、地元の人が歌碑を作ったり愛してくれているのに、自分は子育てもあって何もできなかったという思いもあったので、足利の人のために自分も何かできないかと真剣に考えたのでしょうね」(音楽関係者)
子育てもひと段落つき、ちょうど15年ぶりのライブツアーが予定されていた森高。そこで彼女は初日の会場を足利市民会館に選んだ。
ライブは2013年3月30日、31日に行われたが、彼女はその前日に八雲神社を訪れている。八雲神社の桜木宏紀宮司(74才)はその時のことをこう振り返る。
「森高さんはちゃんとお参りをしてくれて、“早く八雲神社が復興出来ますように…”ってメッセージも書いてくれてね。ずっと笑顔で“頑張ってください。私も募金活動もやりますので”と励ましてもらいました。全国のライブ会場で募金箱を置いてくれただけでなく、うちの絵馬も販売してくれて、他のライブグッズの売上金の一部も寄付してくださいました」
森高から187万円ほどの寄付を受けたほか、およそ3235万円の資金が集まった八雲神社は、今年2月20日、ついに再建のめどが立った。
式年遷宮を終えた伊勢神宮125社の中の「月讀荒御魂宮(つきよみのあらみたまのみや)」に使われていたヒノキ材を譲り受け、1、2年内に着工するという。
「譲り受けた木材はそれ自体が国宝クラス。通常は社の木材を丸ごと譲り受けることは極めて異例なことなんです。再建に向けてここまでスムーズに進めることができたのは、森高さんと『渡良瀬橋』が、伊勢の人たちも含めて人々の関心を呼んでくれたことが大きかったと思います」
そう語る桜木宮司は、いつか再建した時にまた足利でライブをしてほしいとほおを緩ませた。
※女性セブン2015年4月9・16日号