中国の習近平国家主席は今月16日、北京を訪問中の米ハーバード大学のドルー・ギルピン・ファウスト学長と会談した。習氏が北京でファウスト氏と会談するのは2度目。ファウスト氏が7年前の2008年3月に訪中した際に会っており、このとき、習氏は国家副主席だったが、中国の最高指導者が米国の大学長と2度も会談するのは極めて異例だ。
習氏の娘の習明沢さんがハーバード大学に留学しており、ネット上では「父親として、学長にあいさつしたかったのではないか。公私混同だ」との批判的な書き込みもみられる。香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」が報じた。
習氏はファウスト氏に閉幕したばかりの全国人民代表大会(全人代)や中国人民政治協商会議(政協)での討議内容に触れたうえで、2020年までに国内総生産(GDP)と都市住民1人当たりの所得を2010年の2倍にし、小康社会(まあまあゆとりのある生活)を全面的に完成させることを説明。さらには、今世紀中ごろまでに富強、民主、文明、調和の社会主義近代化国家を建設することについて説明した。
しかし、中国の最高指導者が米国の大学長に、このような政治方針を説明するのは例がない。
習氏は今年9月、米国を公式訪問する予定で、その際、ハーバード大学で講演する計画も予定されており、その打ち合わせとの見方もあるが、それは事務方に任せておけば良い話だけに、共産党内には習氏がファウスト氏に会った真意に疑問を呈する向きも多い。
このため、ハーバード大学に留学している習氏の娘、明沢さんと結びつける見方が出ており、米国に拠点を置く中国情報専門の華字ニュースサイト「多維新聞網」は習氏がファウスト氏に会った際、「中国はアメリカとの教育、科学技術協力も重視している。ハーバード大学は世界で名の知られた大学として、中国の教育界と科学技術界と長期にわたって協力関係を保っており、良い成果をあげている」と前置き。そのうえで、習氏は「多くの中国人留学生がハーバード大学でお世話になっており感謝したい」と述べたという。
ネット上の書き込みでは、「習近平がファウスト学長に言いたかったのは、前半部分ではなくて、後半部分の感謝の言葉だろう」などと親バカぶりを皮肉っている。