「『反省の色』って何色なんですか?」
「ヘビはどこからがしっぽなんですか?」
こんな子供たちの素朴な疑問に半世紀以上も答え続けてきたTBSラジオ『全国こども電話相談室』(2008年に『全国こども電話相談室・リアル!』にリニューアル)が3月29日の放送で終了した。
番組開始は1964年7月13日。平日午後1時から6時の『オーナー』という番組内のコーナーだったが、1997年に日曜午前9時からの独立した1時間番組となった。
歴代回答者は放送作家の永六輔氏、ドラえもん役を長く務めた声優・大山のぶ代氏、ジャーナリストの池上彰氏などの著名人で、のべ1000人超の“先生”が、電話を通じて生放送で子供たちの質問に答えた。
思いもよらない“難問”に回答者がいかに答えるかも番組の聴きどころだった。
例えば、「人生って何ですか?」という質問には、「私もまだ人生って何なのか考えている途中です」(サイエンスプロデューサー・杉木優子氏)と子供と同じ立場になって一緒に考えたり、「『おじさん』は何歳からおじさんなのですか?」という質問には、思わず回答者も「……ん? おじさんですか?」(泉福寺住職・無着成恭〈むちゃくせいきょう〉氏)と戸惑ったりする場面もあった。
50年前から回答者を務め、味わい深い名回答でリスナーを唸らせた無着氏は、番組スタートのきっかけを次のように話す。
「当時、池田勇人内閣で学習指導要領が強化され、文部省の『全国中学校一斉学力調査』が始まりました。学校が勉強だけの場になり、生徒が素朴な質問をすると『馬鹿なことを考える暇があったら勉強しろ』と諭されるようになった。
そこで、子供のどんな疑問にも答える番組を作りたいというTBSのディレクターの相談を受け、それはいい発想だと答えたんです」
番組でやり取りされた名質問・名回答を振り返ろう。
──「天国と宇宙はどちらが近いんですか?」
超難問に「名人」永六輔氏はこう答えた。
「天国に行ったら帰って来られないけど、宇宙は帰って来られる。だから宇宙のほうが近いの」
1980年代から30年以上にわたって回答者を務めた気象予報士の森田正光氏は永氏のこの回答を鮮明に覚えている。
「すばらしくウィットの利いた答えで『すげぇな、この先生は』と思いました。僕自身は『天国のほうが近そうだ』と考えてしまったけど(苦笑)」
※週刊ポスト2015年4月10日号