さる2月12日に官邸で開かれた経済財政諮問会議に内閣府が提出した資料「中長期の経済財政に関する試算」の中に驚愕すべき数字があった。
試算はアベノミクスが成功する「経済再生ケース」と成長率が現状維持の「ベースラインケース」の2つのシナリオで各種の経済指標を予測したものだが、経済再生ケースの場合、2014年に0.4%だった長期金利(国債利回り)が10年後の2023年には4.6%まで上がると見込まれている。この数字が意味することは何か。
国の借金は2015年度末には1035兆円に達する見込みだ。金利0.4%なら単純計算で利払いは年間4兆円で済むが、金利が4.6%になると年間約48兆円にハネ上がる。国は税収(2014年度約51兆円)のほぼすべてを借金の利払いに回さなければならず、借金の元本返済ができないのはもちろん、年金(半分は国庫負担)などの社会保障費や公務員の給料さえ払えなくなる。
いったん国債急落が始まると、10年後どころか金利は即座にハネ上がる。日銀や「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)、銀行などは大きな含み損を抱え、金融危機が再来する。そして国債は売れなくなり、国は新規国債の金利をどんどん上げなければならない。その時点で日本経済はあっという間にデフォルトに陥り、円の価値は大暴落、国民生活は破綻する。
現実に2月10日、国債金利が一時急騰し、「暴落の始まりか」と日銀や財務省を慌てさせた。
※週刊ポスト2015年4月10日号