沖縄・尖閣諸島周辺の領海では、相変わらず中国船が傍若無人に侵入し、日中間の緊張は解けない。2012年9月に野田政権が尖閣を国有化して以降も中国側は挑発行為を繰り返してきた。中国問題に詳しいジャーナリスト・相馬勝氏が、尖閣問題についてかつて東京都による購入計画をブチ上げた石原慎太郎氏に聞いた。
──尖閣問題をめぐって、日中間で武力衝突が起きるとの予測もあります。
石原:戦争の可能性については専門家が考えることで、尖閣で「ホットフラッシュ(一触即発の危機的事態)」が起きたらどうなるかは、自衛隊はもちろん、CIA(米中央情報局)もやっている。もっと面白いのは、イスラエルの諜報機関・モサドも分析していることだ。
モサドの元長官とシンガポールで会った時に面白いことを言っていた。「日本は負けません。石原さん、ガダルカナル海戦を思い出してください」と。日本はガダルカナルにいたアメリカの航空母艦を攻撃するための戦闘機をどこから持ってきたか。400~500キロ離れたラバウルからで、そんな距離を飛んでいった戦闘機がまともに戦えるわけがないと言うんです。
──それは尖閣における中国も同じだと?
石原:そう。「石原さん、尖閣で空中戦が起きた時に、支那の飛行機はどこから来ますか。600キロ離れていますよ」と言う。日本の場合は嘉手納基地があり、石垣空港がある。宮古島市の下地島に、かつて民間のパイロットが旅客機の離着陸の練習をした長い滑走路もある。外国の諜報機関の人間が「あれを何で使わないんですか」と指摘するんだ。
※週刊ポスト2015年4月10日号