沖縄・尖閣諸島周辺の領海では、相変わらず中国船が傍若無人に侵入し、日中間の緊張は解けない。2012年9月に野田政権が尖閣を国有化して以降も中国側は挑発行為を繰り返してきた。日本は中国とどう向かい合うべきなのか? 中国問題に詳しいジャーナリスト・相馬勝氏が、石原慎太郎氏に隣国との向き合い方を訊いた。
石原:歴史というものは、大づかみに捉えて物事を考えなければならない。ヘーゲルが言っていたように、人間にとって歴史は一番現実的なものです。
今の「イスラム国」の問題にしてもそうだ。中世が終わり、近世、近代から現代まで、白人がしてきたことの結果が今起きていることです。日本以外の有色人種の土地はすべて植民地にして収奪し、奴隷にしてきた。アメリカにしても結局、ネイティブ・アメリカンを駆逐し、領土を奪って国を拡大させてきた。
僕はそうした白人の世界支配は終わったと思います。もちろんイスラム過激派による残虐行為は絶対に許せません。ただ、ナイジェリアの過激派指導者がテレビに向かって、「俺たちはキリスト教文明を徹底的に破壊する」と叫んでいたのは印象的だった。
──中国もイスラム過激派のテロと無縁ではない。新疆ウイグル自治区からイスラム国に入って訓練を受けた人間が、中国に戻ってテロを起こすとの情報もある。
石原:中国がもたないと考える理由の一つは少数民族への圧政を続けているからです。そのうち、3つか4つの国に分割していくのではないでしょうか。そのほうがあの国の大多数にとっても幸せではないかと思う。
──そうした前提を踏まえた上で、日中関係はどうあるべきと考えるか。
石原:言うことを言って、やることをやったらいい。尖閣にだって灯台を造ったらいい。あの海域を航行するのは日本と中国の船だけではありません。世界中の船が通るわけだから、航海の安全のために必要なものです。中国が茶々を入れてきたら、国際社会に堂々と訴え出ればいい。
※週刊ポスト2015年4月10日号