週刊ポスト3月13日号では、陸上自衛隊が442億円かけて米海兵隊が使う水陸両用車「AAV7」52両を導入する予定だと報じた。しかし、さらにスケールが上回る1200億円かけて建造された海上自衛隊の護衛艦「いずも」が3月25日に就役した。
全長248メートル、幅38メートル、基準排水量1万9500トンの「いずも」は海上自衛隊最大の艦艇で、ヘリ9機を運用できる。
防衛省では大規模災害での救助や物資輸送などにもあたる「ヘリ搭載護衛艦」と説明するが、艦首から艦尾にかけて平らな甲板が広がる様は、どう見ても“空母”だ。
一般的な戦闘機は載せられないが、改修すれば、最新鋭ステルス爆撃機F35Bや輸送機オスプレイのような垂直離着陸が可能な機種を搭載でき、事実上空母の役割を遂行できる。
安倍政権は昨年、集団的自衛権の行使容認を閣議決定し、この3月20日の安保法制をめぐる与党協議は、自衛隊の海外活動を大幅に広げる方針で一致した。日米の軍事一体化は加速する。
「朝鮮有事の際に米軍は、事前協議なしに在日米軍基地を自由に使えるという密約が日米間にある。安倍政権はそこからさらに一歩踏み出し、自衛隊の海外派遣の法整備に積極的です。いずれは『いずも』が米軍機を載せて海外で活動する可能性がある」(春名幹男・早稲田大学大学院客員教授)
防衛力強化は頼もしいが、使い方には慎重さが求められる。
撮影■太田真三
※週刊ポスト2015年4月10日号