中国の習近平指導部が推進する「ぜいたく禁止令」により、昨年1年間で北京市内の5つ星ホテル60軒すべてが赤字に陥り、部屋の稼働率は60%を割り込んでいることが分かった。このため、全国で50軒の5つ星ホテルが自発的に4つ星ホテルに格下げしたという。国営新華社電が報じた。
中国のホテル産業は2012年の利益は約50億元(約1000億円)だったが、習近平指導部が同年11月に発足、腐敗一掃を宣言し、贅沢を禁止した「八項規定」を発表すると、翌2013年は21億元の赤字を記録し、利益は71億元減少した。
これは宿泊のほか、ホテル内の高級レストランや会議場での宴会が激減したことが大きな要因になっている。お得意様だった官公庁がホテルの利用を控えており、北京市政府は2014年、会議会場として318か所を指定したが、これまで指定されていた5つ星ホテルや高級レストランなど27軒をリストから除外した。この指定された会議会場の中で、最も安いのは1日1人当たり80元となっている。
このような全国的な自粛ムードの拡大で、福建省寧波市の5つ星ホテルが倒産したほか、他の5つ星ホテルも経営状態は青息吐息だ。
5つ星から4つ星に降格した50軒のホテルでも、以前の接待利用中心から、いまでは結婚式の利用客拡大に力を入れている。それ以下の3つ星ホテルも経営的には苦しく、あるホテルの経営者は「2年前に589元だった夕食料金を半分以下の239元まで値下げした」と涙ぐましい企業努力を強いられている。
このようななかで気を吐いているのが、格安のエコノミーホテルチェーンで、全国のホテルの売り上げランキングの上位30位のうち、15位までがエコノミーホテルチェーンだ。特に一泊300元から400元(約6000~8000円)程度のホテルが人気だという。
ネット上では、「これまでが異常で、いまの状態が普通の感覚だ。幹部がいかに、贅沢していたかが分かる」との声が多い。なかには、「PM2.5(微少粒子状物質)など環境汚染で、外国人観光客が減ったのも原因では……」と書き込みもある。