2013年の『住宅・土地統計調査』によると、日本国内の「空き家」は約820万戸と過去最高を記録し、空き家率は13%を超えた。また別の調査では、2040年には日本国内の空き家率が40%に迫るとの見方もある。景観破壊や犯罪の温床になるなど、空き家は深刻な社会問題となっている。
空き家ができる理由はさまざまだが、特に地方では家主が亡くなったり、年齢や病気のため都市部に住む子供が親を呼び寄せるといったケースも少なくない。また、実家を“思い出の場所”として手放せない場合も多い。
しかし空き家のケアは一筋縄ではいかない。ガラスが割れ外壁は崩れ、閉めきられた室内は湿気により劣化していく。庭の手入れが行き届かないと、虫が発生して近隣トラブルを招くこともあるし、郵便ポストにチラシが溜まっていれば、放火されることも予想される。
そんなトラブルに巻き込まれないために火災保険などをかける人も多いが、それまで“住宅”だったとしても、空き家になると保険の取り扱いに大きな変化が起こる。ファイナンシャルプランナーの八ツ井慶子氏はこう説明する。
「例えば火災保険に入る場合、一戸建てやマンションなど私たちが“住む”ための専用の家は“住宅物件”に分類されるのに対し、事務所や店舗に利用している建物は、原則“一般物件”として取り扱われます。
空き家は、本来の用途としては“住宅物件”と変わりませんが、“一般物件”とされる場合が多いんです。
ホームレスや不審者が侵入したり、不良の溜まり場になったり、ごみが不法投棄されたりといったことが予想される空き家では、防犯・防火上のリスクが高く、保険会社によっては引き受けを拒否することもあります。また、仮に“住宅物件”と同じ補償内容の保険に加入できたとしても“一般物件”である空き家は保険料が3~5割ほど割高になるんですよ。“じゃあさら地にしてしまえばいい”という考え方もありますが、家を取り壊すのにも費用はかかりますし、さら地にすると固定資産税が6倍にはね上がってしまうんです」
※女性セブン2015年4月9・16日号