全国233の地方自治体で首長選、745の自治体で議員選が行なわれる、4年に1度の統一地方選挙がスタートした。
前半戦に当たる知事・道府県議選、政令市長・市議選の投票日が4月12日に迫っているにもかかわらず、国民の関心は一向に盛り上がる気配がない。統一地方選が始まった1940年代後半から1950年代には道府県議選の平均投票率は80%前後あったが、年々下落し、前回2011年の統一選では戦後初めて50%を割り込んだ(48.15%)。今回はさらに最低記録を更新すると予想されている。
それには理由がある。先陣を切った10道県知事選(3月26日告示)の候補者では、自民・公明・民主の3党が同一候補を推薦・支持する相乗り選挙は半数以上の6県に上る。そのすべてが現職。有権者の選択肢が事実上奪われている。
さらに国民をシラケさせるのが、過去最高の無投票当選者を生むことである。
41道府県議選(4月3日告示)では無投票当選者の割合が、前回2011年統一選より大幅に増え、2割を超えると見られている。無投票当選とは、各選挙区で立候補者数が定数を上回らない事態を指す。立候補届に名前を書けばそのまま当選なのだ。無投票当選議員が2割を超えれば戦後最高の数字となる。新議員の5分の1以上が有権者からの審判を受けることなくバッジをつけて“センセイ”になれるわけだ。有権者の関心が高まるわけがない。
本稿締め切り時点では告示前のためあくまで立候補表明に基づく推定だが、香川県議選での無投票率はなんと58.5%に上ると見られる。定数41のうち24議席が無投票となる見通しで、実に新議員の6割が1票も獲得せずに“不戦勝”で当選する可能性がある。
他にも山形、宮崎、広島の各県議選で4割以上の議席が無投票で決まると見られる。世間では大学4年生がリクルートスーツを着て説明会や面接に走り回っているが、地方議員はいま日本で最も「就活」がラクな職業となっている。
※週刊ポスト2015年4月17日号