新生活がスタートする季節を迎え、新社会人が、「生命保険は若いうちから入ったほうが得ですよ」と勧誘する生保レディの営業攻勢を受ける時期である。また、子供の進学などをきっかけに「保険を見直そう」と考えている人も少なくないだろう。
一般社団法人「生命保険協会」が昨年10月に公表した「生命保険の動向(2014年版)」によると、2013年度の生命保険の個人新規契約件数は1899万件。前年度比では3.5%減だったが新規契約高は66兆8367億円、保有契約高は857兆5406億円という巨大市場だ。
同資料によれば2013年度の保有契約件数は人口を超える1億4388万件。1人で複数の保険に入っている人がいるためだ。生命保険文化センターの調査結果(2013年度)では「日本の全世帯の9割が生命保険に加入している」とされ、日本人の「保険好き」が数字からもわかる。
今、生保会社は全国で約50社、商品は約900種類に及ぶといわれる。「その中には“加入者が損する保険”が数多くある」と警鐘を鳴らすのは、『実名大公開! 入ってはいけない生命保険』(宝島社刊)の著者で国際保険総合研究所所長の三田村京氏だ。
「『生命保険はどの商品に加入してもたいして変わらない』と考え、保険の中身を知らないまま加入している人が非常に多いのが実情です。が、実際はどの保険に入るかで、老後の生活設計がまったく変わってしまうほど重要な選択なのです。
『いろいろな特約があったほうが安心』と安易に契約した結果、気付かぬうちに“ダメ保険”に加入しているかもしれません」
次に挙げるような理由で、今の保険に入ってはいないだろうか。
●「寄らば大樹の陰」で、大きい会社なら安心だと思ったから。
●盛んに宣伝している有名な会社だから。
●職場に出入りしている会社の営業員から団体扱いで入った。
●親戚や知り合いが保険のセールスをしていて、その人を通じて入った。
「保険選びに失敗したと後悔している人たちに聞くと、ほとんどそのどれかに当てはまります。もし、これらの理由で契約していたらダメ保険を掴まされている恐れがあるので、直ちに保険の内容を確認し、このまま加入し続けていいか検討することをお勧めします」(三田村氏)
“まさかの時のためです”“皆さん入っていますよ”という売り文句に惑わされると、本当に自分に必要な保障なのか、不要なサービスが含まれていないかがわからなくなってしまう。そのままだと無駄な保険料を払い続ける恐れがあるのだ。
そして、保険は“入ったら最後”ではなく、いつでも乗り換えられるものでもある。
※週刊ポスト2015年4月17日号