東北楽天ゴールデンイーグルスの監督を辞したのち、野球解説者、評論家として活躍していた野村克也氏は、昨年10月に突然公の場から姿を消した。各メディアでは病気療養のためと報じられ、重病説も出た。
退院後の姿を報じたのは3月27日に発売された『FRIDAY』だ。沙知代夫人の肩に手をかけ、〈一歩一歩かみしめるように歩く〉姿を撮影し、知人の発言として〈昨年末まで集中治療室に入っていたため20kg近くやせてしまった〉と伝えられた。
しかし本誌の取材会場に現われた野村氏は、しっかりとした足取りで入室し、記者に「おぅ」と声をかけてソファにどっかと腰をおろした。確かに少しほっそりしたが、顔色はいい。
「写真誌は大袈裟や。メスを入れたわけでもなく、ただ1か月入院しただけで、痩せたのは8キロ。退院してから少し戻っているしね。1か月も入院すりゃ誰でも痩せますって。ダイエットしたけりゃ入院すればいいよ。病院食は食えたもんじゃないから」
憎まれ口を叩き、ニヤリと笑う。
「上(半身)はそうでもないが下が細くなった。ズボンがガバガバ。まァ、80年(今年6月で傘寿)も生きてりゃどこかは悪くなる」
入院のきっかけは毎年受診している健康診断だった。
「中曽根(康弘)さんから紹介された病院で50歳の時から毎年(健診を)受けている。そこで引っかかっちゃった。自覚症状? 何もない。痛くも痒くもなかった。医師からは“石原裕次郎さんと同じ病気(解離性大動脈瘤)。ただ野村さんは幸運です。裕次郎さんは発見が遅かったがあなたは早かった”といわれた」
早期発見で手術を受けることもなく済んだ。「もう大丈夫。食欲、睡眠欲はすごい」と完全復活をアピールする。しかし沙知代夫人は心配なようだ。
「家でテレビばかり見ていたら、サッチーが“(健康のために)歩け、歩け”ってうるさいんだよ。私は引退したときの会見でもいった通り、“金輪際汗はかかない”主義なんです。長生きする動物を見てご覧なさい。万年生きるというカメは普段ジーッとして動かないでしょう。あれがいい。カメ理論だよ。最近はジョギングをする人も多いが、あれはかえって心臓に負担をかけちゃう」
今後も「カメ理論」を貫くという。
「平均寿命まで生きたんだ。後も動かずにやりますよ。趣味もないしね。ゴルフもしない、旅行も大嫌い。強いていえば食だね。最近は美味しい店の情報を集めている。自分で食べて美味しいと思う店を6軒に絞って、そこをローテーションして回っています。サッチーは一切料理をしないから、台所がいつも綺麗なんだ。珍しい家だよね」
※週刊ポスト2015年4月17日号