【漫画紹介】『妻しか女性を知りません』石原まこちん/KADOKAWA/886円
38才・会社員・妻子持ちの「ボク」の悩みは「妻しか女性を知らない」こと。大学で人気者だった妻が今も大好きだし、童貞を卒業させてくれたことに感謝もしている。でも元カレの話を聞かされる度に落ち込みと妄想が止まらない…! そんな男の日常を4コマ形式で描きます。
後輩女子に敬語を使い、ちょっとからかわれたら赤面・妄想、浮気どころか風俗でさえ家族の顔がよぎり断念。妻が自分のセックスで満足しているのか不安で仕方ない…決して「経験人数が多いやつが男として上」というようなザ・男な価値観に生きているわけでもない、ごく普通の「ボク」でも、こんなに苦悩するものなのか…となぜか申し訳ないような気持ちに。男性向けマンガの世界では、苦悩する童貞男子を描いた作品は一大人気ジャンルですが、童貞男子はこの先100人と経験する可能性も一応ある分、「妻しか」男子の悩みのほうが深いのかもしれません。
とはいえ、本作では基本的にすべての行動は愛する妻へと向かっています。女性読者目線では、ただただ「ボク」がかわいいやら、うらやましいやら。おまけマンガ「妻たちの女子会」では妻の本音が語られますが、冷静でありつつも毒づくこともなく、やっぱり夫への愛情に満ちています。ジェーン・スーさんいわく「こんな旦那さんと一緒になれたら幸せだな。少し面倒くさいけど。」(帯コメント)。幸福感あふれるラストを見ると、まさしくそんな気持ちになるのでした。
※女性セブン2015年4月9・16日合併号