1990年代といえばJ-POPのみならず、ビジュアル系バンドが一斉を風靡し音楽シーンを牽引した黄金期でもある。とくにブームの立役者である「X JAPAN」を筆頭に、「黒夢」、「LUNA SEA」、「SIAM SHADE」、「SHAZNA」、「PENICILLIN」、「MALICE MIZER」など後のバンドシーンに多大な影響を与えたビジュアル系バンドが群雄割拠した時代だ。
現在も精力的な活動を行なっている「L’Arc-en-Ciel」や「GLAY」も、当時は今以上にビジュアル面を強調したスタイルで支持を得ていた。こうしたバンドの全盛期である1990年代に生まれた若い女性たちの間で、当時のバンドが密かに人気になっているのだという。いったい彼らはどんな経緯でファンになるのだろうか。アパレル系企業に勤務する1990年生まれのAさん(24歳・女性)はこう話す。
「まず『L’Arc-en-Ciel』にハマった理由は、活動再開に合わせてベストアルバムが発売されたことがきっかけでした。そこからビジュアル系に興味を持って、当時ソロで活躍していたGacktを掘り下げていくなかで、『MALICE MIZER』に辿りつきました」(Aさん)
また、1993年生まれの大学生Bさん(21歳・女性)はこう話す。
「自分の好きな『摩天楼オペラ』というバンドメンバーのルーツを調べているなかで、『X JAPAN』や『PIERROT』に出会いました。また、現在活躍しているバンドが1990年代のビジュアル系バンドをカバーしたトリビュートアルバムがあるのですが、そこから『LUNA SEA』や『PENICILLIN』にのめり込みました。YouTubeがあるので、過去のライブ動画を見ることが多いです」(Bさん)。
1992年生まれの大学生Cさん(22歳・女性)は、実際にライブにも足を運んでいるという。
「『LUNA SEA』が復活を遂げたことをきっかけに、姉と一緒に2014年から2015年の『LUNA SEA』ライブツアーにも足を運びました。復活をきっかけに、テレビで流れるようになったことも大きいです。1990年代のバンドの楽曲はメロディがとても綺麗で聴きやすく、見た目とのギャップが魅力ですね。今の若いバンドよりも当然演奏力やカリスマ性があるので、そこもカッコよく見えるポイントかもしれません」(Cさん)
1990年代以降に活躍したバンドなら音源もデジタルデータで残っていることが多く、加えてYouTubeなどで当時の映像に手軽にアクセスできるため、自分が生まれた当時に活躍していたバンドの良さを知る機会も増えているようだ。