日本の地方議員は当選もラクなら安定した高給に年250日以上の休日を謳歌できる。今回の統一地方選では約5人に1人が「立候補届に名前を書いただけ」で一票も獲得せずに当選すると見られている。関西地方で20年間の地方議員生活を送った元市議が、議員の仕事についてこう話す。
「市議は予算提案権を持っていないから、例えば予算案を修正しようにも、現実には行政の長にお願いするしか手はない。いくら一般質問しても、意味がないと感じてしまうので、誰も手を挙げなくなる。質問しないことよりも深刻なのは、議員の本来の仕事である議案をきちんと読む議員がほとんどいないことだ。
経験上、8割近くの議員は議会に提出される各議案をまともに読んでいません。会派が賛成ならば自分も賛成、反対ならば自分も反対なので、わざわざ読む必要がない。これは会派運営で行なわれている日本の地方議会の弊害です」
事実、この市議が数年前、ある議案に目を通したところ、水道料金の積算根拠が間違っていたという大チョンボを発見。が、他の議員からそれを指摘する声は一切出なかった。質問もせず議案も読まないのに、地方議員たちは議会で何をしているのか。
「議会に出ても座っているだけの議員らが、開会日には律儀に議会庁舎に顔を出す理由は、議員控室を自分の事務所代わりに使っているケースが多いためです。控室で1日の大半の時間を自分のブログ更新や掲示板チェック、支援者との懇談、陳情の面会といった“個人の政治活動”に費やしている。本当の仕事場は議会ではなく控室という議員は少なくない」(元市議)
※週刊ポスト2015年4月17日号