3月27日、広島市にある3万3000人収容のマツダスタジアム(MAZDA Zoom- Zoomスタジアム広島)のスタンドは、どこを向いてもチームカラーの赤、赤、赤! かつてセ・リーグ1、2を争う弱小球団と呼ばれ、スタンドに閑古鳥が鳴いていた広島東洋カープだが、昨年は2年連続リーグ3位でクライマックスシリーズに出場。
今や試合の入場券は“プラチナチケット”といわれるくらい入手困難になっている。そればかりか、『るるぶ広島カープ』(JTBパブリッシング刊)など関連本が次々出版され、グッズが軒並み完売になるなど、カープブームはとどまるところを知らない。
ここまで人気が爆発したひとつめの理由はもちろん「黒田効果」だ。1997年に広島に入団して103勝を挙げた後、2007年に大リーグに移籍しドジャースとヤンキースで大活躍した黒田博樹投手(40才)が、「広島に恩返ししたい」とメジャーの高額年俸を蹴って、今年から古巣・広島に復帰したのだ。その“男気”に広島ファンは感涙。3月30日の今季初登板では、スタジアムが黒田の背番号「15」でいっぱいになった。
そしてもうひとつの理由は、広島人気の立役者「カープ女子」の存在だ。赤いユニフォームに身を包み、球場で黄色い声援を送るカープ女子は昨年の流行語大賞にもノミネートされるなど、もはや社会現象になっている。彼女たちは広島のみならず全国に拡大し、敵地のスタンドまでも埋め尽くしているのだ。
「球団もカープ女子にご満悦で、昨年5月には球団が“関東カープ女子 野球観戦ツアー”を実施。148人の定員に対し2035人の応募がありました。これは東京・広島間の新幹線往復料金を球団が負担し参加者は入場チケットと食事代だけで観戦できるという、球団にとっては“赤字企画”ですが、ゲストとして往年の名選手、前田智徳さん(43才)が登場し、昼食は真っ赤な料理づくしの『赤道直下弁当』と、力の入れようはハンパじゃなかった」(スポーツ紙記者)
それにしても、いったいなぜ女子はそんなにカープに夢中になっちゃうの? カープ女子のひとり、東京都在住の青木里穂さん(仮名・32才)が言う。
「カープの試合はドラマチックというか、最後まで全力で戦ってるところがいい。強い選手ばかり集めてくる球団と違って、2軍から這い上がってきた選手たちが1軍で頑張っている姿に感動するんです。応援している選手が1軍で活躍してくれた時は本当に嬉しい」
里穂さんがカープ女子になったのは2年前のこと。当時はどんな選手がいるかもよくわからなかったというが、今では立派なカープ女子だ。
「最初はなんとなく“ユニフォームがかわいいな~”というだけだったんですけど、友達に誘われて球場に足を運ぶうちにどんどんハマっていきました。今ではひとりでも応援に行きます。広島ファンは一体感があってみんなやさしくしてくれるので、ひとりで行っても楽しめるんです」(里穂さん)
※女性セブン2015年4月23日号