99%ないと巨人・原辰徳監督が断言していた阿部慎之助の捕手復帰が、早くも4月3日に実現してしまった。誰もが驚いたこの采配に、一家言持つ重鎮たちはどう見るのか。巨人のV9時代を捕手として支え、後に西武、横浜の監督を務めた森祇晶氏は、原監督の読みが甘かったと指摘する。
「どんなチームにも事情があるが、阿部をコンバートして捕手の穴を相川(亮二)と小林(誠司)で埋めようとしていたなら、その2人が欠けた時のことを考えてないといけませんね。今の巨人を見ていると、相川や小林がダメだった時のことは何も想定していなかったんじゃないかと思います。
原監督に危機管理ができてなかったというか、非常に曖昧な方針だったとしかいいようがない。こんなことで戻すようなら、コンバートに価値がなかったことになる。簡単に戻すというのは僕には理解できません」
一方、その耳で「99%ない」と聞いた金田正一氏は、「原はツイとるな」と意外な言葉を口にした。
「開幕してすぐ、阿部はファーストでは使えないことが誰の目にもわかった。あれは全然ダメだ。自分だけではなく他の連中に迷惑をかけている。阿部にエラーさせまい、恥をかかせまいと他の内野が送球などに気を遣うことで、坂本(勇人)や村田(修一)の守備にまで影響を与えてしまっとる。
ケガの功名ではないが、相川が故障したことで阿部を戻す言い訳ができたのは天の助けじゃよ。監督があそこまで言い切ったコンバートは少々のことでは戻せん。これがもっと進行した状態で、もし相川がダメ、小林もダメとなってから戻していたら、すでにチームはガタガタになっていただろうからな。まだ原に運が残っていたということだよ」(金田氏)
※週刊ポスト2015年4月24日号