ライフ

87歳現役紙芝居師 「サラリーマンより収入多かった」時期も

現在も紙芝居師を続ける永田為春さん

 テレビが今ほど普及していなかった時代、子供たちの楽しみのひとつが街頭での紙芝居だった。最盛期の昭和30年代、全国に5万人といわれた紙芝居師も今や数人。永田為春さん(87)は東日本でただ一人、62年前から子供たちに紙芝居の世界を伝え続ける。

「若い頃は旅芸人など30以上の職を転々としていましたが、駄菓子の卸業をしていた時に友人に勧められて始めました。当時はベビーブームの後で子供も多くて、収入はサラリーマンの月給より多かったんですよ」(永田さん)

 毎週水曜日、自宅近くの東京・江戸川区の公園に紙芝居道具一式を積み込んだ自転車で訪れる。拍子木を鳴らすと、子供たちが駆け出して集まる。

「おじちゃん、黄金バットやってよ!」

 駄菓子を手に、役によって違う声色で進むストーリーを食い入るように見つめる。最近、永田さんには「ジャンボさん」こと、岡本りおさんという弟子ができた。

「紙芝居って、子供たちが喜んでくれるお菓子を準備するのが大切な仕事なんだと知りました。子供たちの笑顔を見ていると幸せな気持ちで満たされるんです」(岡本さん)

撮影■江森康之

※週刊ポスト2015年4月24日号

関連キーワード

トピックス

三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
公益通報されていた世耕弘成・前党参院幹事長(時事通信フォト)
【スクープ】世耕弘成氏、自らが理事長を務める近畿大学で公益通報されていた 教職員組合が「大学を自身の政治活動に利用、私物化している」と告発
週刊ポスト
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン