昨今、話題となっている「大和言葉」。現代では意味がわかりづらい古文の言葉のことかと思いきや、そうではないらしい。
ブームの火つけ役ともいうべきライターの高橋こうじさんは、こう話す。
「私たちが毎日何気なく使っている日本語は、漢語、外来語、そして大和言葉の3種類に分けられます。漢語は中国から取り入れられた、音読みで発音される言葉のこと。『山地(さんち)』『河川(かせん)』などがそうです。外来語は中国以外の外国からきた言葉で、多くはカタカナで表記されます」
一方、大和言葉とは、私たちの先祖が太古の昔に作り出した、日本固有の言葉だという。
「たとえば、地面が大きく盛り上がったところは、“や”“ま”という二音で表すのが最もしっくりくるものだった。そんな日本人の感性が投影されたものだからこそ、時代を経ても私たちの心に染み入りやすいという特性があるのです」
「故郷」という漢語の読みかたが、わかりやすい例のひとつだ。音読みの“こきょう”ではなく、“ふるさと”と読んだ方が、味わい深い響きになる。
「お手本にしたいのは、皇族がたの話し方。美しい言葉遣いが印象的ですよね。また、歌舞伎や能など伝統芸能の世界にも、大和言葉が息づいていると感じます」
たしかに、美しい言葉は耳に心地がいいいが、私たちが日常で大和言葉を多用するのは口幅ったいような気も。
「もちろん、濫用すると気取っていると思われて、逆効果になることがあります。おすすめなのは、メールやメモ、手紙など話し言葉以外で、1語か2語取り入れてみること。特にメールの場合、短く済ませるために漢字を多めに使いがち。いつもは“先刻”とするところを“いましがた”に変えるとか、ちょっとの工夫で印象が変わりますよ」
※女性セブン2015年4月23日号